サイバーセキュリティなくして東京2020大会なし 秋葉原で「サイバーコロッセオ×SECCON 2016」開催:追われる社会人、追う小中学生という構図も(1/2 ページ)
総務省、SECCON実行委員会、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)が主催する「サイバーコロッセオ×SECCON 2016」が開催。学生チーム、若手社会人チームの全24チームが昨今のセキュリティ動向を織り込んだ難題に挑んだ。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は2017年3月4日、5日の2日間に渡って、サイバーセキュリティの普及啓発を目的としたイベント「サイバー攻撃を目撃せよ! 2017」を開催した。
同イベントは、にぎわう週末の東京・秋葉原で、アニメ映画『劇場版ソード・アート・オンライン』の声優や原作者などを招いたトークイベントやAR(Augmented Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)に触れられる場などを設けて行われた。普段セキュリティに興味を持たない層に振り向いてもらうきっかけを作ることが狙いだ。事実、オリジナルクリアファイルが頒布されるスタンプラリーは、用意した数が全てなくなるほど盛況だった。
3月5日には、そのスタンプラリーの人の流れとは逆方向に当たる会場の2階で「サイバーコロッセオ×SECCON 2016」(総務省、SECCON実行委員会、日本ネットワークセキュリティ協会主催)が行われた。国内最大級のCTF(Capture The Flag)大会「SECCON」と、総務省のセキュリティ演習事業「サイバーコロッセオ」のコラボイベントで、30歳以下のエンジニアで構成された24チームが参加した。
サイバーセキュリティなくして東京2020大会なし
サイバーコロッセオは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を想定した演習の総称だ。大会システムの模擬環境を構築し、オリンピック開催時を想定したさまざまな攻撃手法とそれに対する防御策を検証、演習することで、座学で得た知識を体得し、スキルアップを図る趣旨だ。組織委員会で実際にオリンピックシステムの運営に当たる担当者の訓練も実施するという。
サイバーコロッセオ自体は関係者のみだが、そのコラボイベントという位置付けのサイバーコロッセオ×SECCON 2016は自由に見学できる。これまでは設備の関係上、大学のキャンパスなどを用いて実施されることの多かったSECCON CTFだが、秋葉原という場所で公開されたこともあって、より多くの人の目に触れたようだ。
サイバーコロッセオ×SECCON 2016はまた、サイバーセキュリティ分野では初めて、オリンピックの「公認プログラム」となった。競技後の表彰式で東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 警備局長の今井勝典氏は、「サイバーセキュリティなくして東京2020大会なし。大会を支える数々のITシステムや、そのバックにある重要インフラが正常に稼働してはじめて東京大会が成功し、アスリートのもたらす感動が生まれる」と述べた。
今井氏はさらに「既に独自のCSIRT、『CIRT 2020』を立ち上げて訓練や情報収集に取り組み始めているが、サイバー空間の安全は、組織委員会の努力によってのみ達成できるものではない」と述べ、官民が協力してサイバーセキュリティの底上げに取り組むことが重要だと呼び掛けた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「SECCON 2016決勝大会」開催、CTFを軸に広がる技術と人材の幅
2017年1月28日、29日にかけて、国内最大規模の情報セキュリティ競技会「SECCON 2016」の決勝大会が行われ、世界各国から集った強豪チームが熱戦を繰り広げた。会場では同時に、競技の幅や裾野を感じさせるさまざまな企画も催され、多くの参加者を集めた。 - 今年も始まる「SECCON 2015」、バリエーションに富む予選を用意
セキュリティ人材の発掘、育成を目指したコンテスト「SECCON 2015」の開催概要が発表された。今年もバリエーションに富む予選を用意する他、学生限定の大会も開催するなど、門戸を広く開いている。 - 実はこんなにいた! セキュリティ女子
SECCON実行委員会/日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)は2014年6月29日、女性のみに限定したCapture The Flag(CTF)のワークショップ、「CTF for Girls」を開催した。 - 「セキュリティ人材」って、何ですか?――本当に必要なセキュリティ教育を考える
昨今「情報セキュリティ人材の不足」がしきりに叫ばれていますが、本当に人材は不足しているのでしょうか。そもそも、「セキュリティ人材」とは一体どのような人材を指すのでしょう? セキュリティ教育に現場で携わってきた筆者が、今求められる人材育成について考えます。