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三菱UFJフィナンシャル・グループ、“振込”も可能な銀行APIの開放を発表本格普及期に入ったFinTechのAPIエコノミー

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2017年3月6日、「MUFG{APIs}」を発表した。オープンAPIについての勉強会、MUFG{APIs}の発表会の模様をお届けする。

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 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2017年3月6日、「MUFG{APIs}」を発表した。金融業界トップグループの決断で日本のFinTechは新たなステージに入ったことになる。

世界の金融界で広がる“APIエコノミー”

 3月6日に開催された発表会では、MUFG{APIs}の説明に先立ち、オープンAPIについての勉強会が行われ、オープンAPIとはどういうものかについての解説があった。


三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション推進部 企画グループ シニアアナリスト 藤井達人氏

 そこでは、三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション推進部 企画グループ シニアアナリスト 藤井達人氏により、「APIとは、あるアプリケーションから他のアプリケーションを利用するためのインタフェース」との説明が行われた。自社のAPIを公開するオープンAPIは、外部の開発者が容易にアプリケーションを開発・利用できるようにすることを狙ったものだ。

 藤井氏はオープンAPIの実例としてGoogle Mapsの地図情報、Facebookのユーザー情報、Yahoo! JAPANの商品情報などを挙げ、「これらのコンテンツや情報を一から作り上げるのは大変。APIを活用して自社のサービスと組み合わせることで新しい価値を提供できるようになる。そこで重要となるのは、APIの仕様であり、使いやすく、プログラムが複雑でないこと、性能、拡張性などだ」と解説した。

 また先行企業では、APIを多くの外部企業に使ってもらうため、認知度アップのための仕掛けとして開発者向けのAPI活用コンテストを開催し、問題点を抽出するとともに、優れたAPIを選び出して普及を図ろうというハッカソンも盛んだ。

 藤井氏は、海外での事例としてスペインで2番手の大手銀行であるBBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)の例を引き、「参照系だけではなく、振込業務などでも利用できるAPIを公開しており、APIのパートナー会も開いている。これに続き、さらにVISA、シティバンクなどの著名金融機関もAPIを公開し始めている」と、いわゆる“APIエコノミー”が世界的に広がろうとしている現状を紹介した。


銀行APIによるサービス例

銀行API公開で先鞭


三菱UFJフィナンシャル・グループ CIO、三菱東京UFJ銀行 専務 村林聡氏「本日、MUFG{APIs}を発表して金融機能をAPIとして開放。大企業からベンチャー企業までさまざまな企業と連携し、革新的なサービスを実現する」

 続いて本題のMUFG{APIs}の公開についての発表会に移った。

 冒頭、三菱UFJフィナンシャル・グループ CIO、三菱東京UFJ銀行 専務の村林聡氏があいさつに立ち、「消費者のデジタルシフト、スマホやネットの利用が進んでいる。当グループは2016年に『Fintech Challenge 2016 “Bring Your Own Bank!”』を開催、ハッカソンには13チーム、約100人が3日間参加した。参加各社に私どもが開発したデモ版の『銀行API』を提供し、参加された開発者からさまざまなフィードバックを得て大きな成果を得た」と当日の発表に至る経緯について説明。

 続けて「当グループはオープンイノベーションを推進するため、これまでも外部のスタートアップ企業の先進的なアイデアを積極的に取り入れてきた。こうした準備期間を経て本日、MUFG{APIs}を発表。金融機能をAPIとして開放し、大企業からベンチャー企業までさまざまな企業と連携し、革新的なサービスを提供していきたい」と熱く語った。


MUFG{APIs}――MUFGが提供するAPI

法人向けの「Biz STATION API」は4月から、個人向けは秋に提供開始

 続いて、再び藤井氏が登壇し、今回のMUFG{APIs}の公開について詳細を説明した。既にMUFG内ではカブトッドコム証券が株式、先物、オプションの発注、注文照会、残高照会など「証券API」を外部に提供している他、「投信情報API」を三菱UFJ国際投信が提供している。


MUFG{APIs}のラインアップ(提供予定、提供済み含む)

 三菱東京UFJ銀行の「銀行API」はこれに続くもので、法人向けの「Biz STATION API」は2017年4月、個人向けの「リテールAPI」は2017年秋をめどに提供するとした。


銀行API

 藤井氏はこれに続き、外部のベンチャー企業などがMUFG{APIs}を利用する手続きについて説明した。MUFG{APIs}の利用を望む企業は同行に利用の申請を行い、審査を経て、申請から1〜2カ月でシステムの利用許諾基本契約を結ぶことで、利用できるようになる。また、開発者向けのWebサイト『MUFG API Portal』を設置、公開する予定で、APIの仕様やサンプルコード、APIのデモ環境、利用申請/質問フォームなどが提供される予定だという。


銀行APIの利用方法

有力FinTechベンチャーによるMUFG{APIs}利用計画

 発表会ではこの後、既に利用を検討しているFinTech企業の紹介があり、そのうち代表的なサービスとしてオービックビジネスコンサルタント、freee、マネーフォワードから「どのようなサービスを計画しているのか」の説明があった。


銀行APIの利用を検討している企業(2017年3月現在)

 オービックビジネスコンサルタントでは「奉行Jクラウド」と「Biz STATION API」の連携を計画。【1】銀行から入出金明細データを取得し、仕訳を自動的に起票、【2】過去に登録した勘定科目や取引先、摘要などを自動でひも付け、仕訳伝票を起票――を実現するとした。


オービックビジネスコンサルタントによる銀行APIの利用方法

 freeeは「クラウド会計ソフトfreee」と「Biz STATION API」をシームレスに連携。会計ソフトから直接振込作業を行えるようにし、業務の効率化が図れると説明した。


freeeによる銀行APIの利用方法

 マネーフォワードは「MFクラウド会計」「MFクラウド確定申告」「MFクラウド経費」の「MFクラウド」シリーズで現在実装しているアカウントアグリゲーションをMUFG{APIs}に切り替えることで、よりセキュアなサービスが展開できると説明した。


マネーフォワードによる銀行APIの利用方法

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