私の理想が私をイラッとさせる――感情コントロール「ステップ4 感情を切り替える」:ストレスフルな職場でエンジニアが心穏やかに働くための5段階感情コントロール(5)(4/5 ページ)
感情が生じるスイッチが自分の中にあるのなら、スイッチが切り替わると感じ方そのものが変わってくるかもしれません。
感情は理想に気付き固定観念を手放すサイン
ネガティブな感情は気分が悪いので、一般的には「良くないもの」と思っている方が多いでしょう。そして、一時的なテクニックで「何とか鎮められないか」と感じないようにしたり、気にしないようにしたりします。前回のトイレにこもって3分間――感情コントロール「ステップ3 感情を鎮める」は、手っ取り早く感情を鎮める方法でした。
けれども、一時的なテクニックでは、感情は鎮められても価値観は変わりません。そのため、似たような状況が起きると、また感情的になってしまいます。
一方、自分の中にある価値観を知り、それを変化させると、感情がONになるスイッチが変わるので、感じ方そのものが変わります。
このことに気付いてから、私はネガティブな感情を「悪者」とは思わなくなりました。むしろ、「自分の理想は何なのか」「本当はどうしたいのか」という理想を知り、「すべき」「ねばならない」という固定観念を手放すきっかけだと考えるようになりました。
意識が「理想」に向けば、感情は切り替わる
情報システムの開発現場には、さまざまなトラブルがつきものです。「顧客が約束した日までに仕様書を送ってこない」「部下が納期までにプログラムを完成させない」など、開発スケジュールが遅れてしまうこともあるでしょう。
そのようなときに、「お前のせいでスケジュールが遅れるじゃないか!」と感情的になって相手を責め立てると、ネガティブな感情に油を注ぎ、ますます感情的になってしまうことがあります。
一方、同じ状況に置かれたとき、一瞬「イラっ」とすることがあったとしても、「何が、私に、このイラっとした感情を抱かせたのだろう?」と、感情が生じた「理由」を考えられるようになると、感情から離れて自分を冷静に「観察」できます。
さらに、イラっとした感情の背景に、「私は、何としてでも納期までに開発を間に合わせたい」という「理想」や、「私にとって大切なのは、一時に感情に流されることではなく、プロジェクトマネジャーとしての仕事をやりきることだ」のような前向きな「信念」があることに気付けば、意識がポジティブな理想に向くので、それに伴って自然と感情が変化してきます。
このように、自分の中にある理想に気付き、意識をそちらに向けることによって、感情コントロールはしやすくなるのです。
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