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明瞭な「提案依頼書(RFP)」の書き方「訴えてやる!」を未然に防ぐ(1/4 ページ)

システム開発に先立ってユーザーがベンダーに提出する「提案依頼書(RFP)」。ここであいまいな表現やヌケがあると、後々トラブルになることもあります。連載「エンジニアのためのビジネス文書作成術」、第3回目は「RFP」の書き方と、Wordの「スタイル」を活用して「RFP」を見やすくするコツを伝授します。

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連載「エンジニアのためのビジネス文書作成術」は、書籍「外資系コンサルのビジネス文書作成術」(吉澤準特著 東洋経済新報社)を基に、出版社の許可を得て、筆者自身が@IT読者向けに再構成したものです。画像はWindows 7 + Word 2013上のものです。機能はWord 2013、2016のいずれでも使用できます


 連載「エンジニアのためのビジネス文書作成術」、第1回は「議事録」の書き方を、第2回は「要件定義書」の書き方を学びました。第3回は「提案依頼書(RFP)」をWordで作ります。

 提案依頼書(RFP)とは、発注者(ユーザー)が、自分たちが提案してほしいことを具体的な「内容(要件)」にまとめた文書です。受注者(ベンダー)が「提案書」を作成するためのインプット(材料)になります。

 RFPはシステムの「実装内容」だけでなく、自社とベンダーの「責任関係」を決める文書です。「役割分担」は、そのまま契約内容に跳ね返ります。曖昧な表現や適切ではない割り振りは厳禁です。

 以下は、RFPが曖昧だったために、発注者の意図と違うものが作られた例です。

提案依頼内容 ベンダーの考えたもの その結果
アジャイル開発で多段階リリースすること by開発部長 アジャイルだから設計書を作らなくてもよい メンテナンス大混乱
稼働後障害を起こさないシステムを構築すること by金融機関CEO バグゼロにするからテスト工数「4万人月」 プロジェクトコスト青天井
敵モビルスーツの攻撃を防ぎつつ反撃できる武器を開発すること byオデッサ基地司令 防御中に攻撃するから盾の中にミサイルを搭載 相手の攻撃で盾内のミサイルが誘爆

 こうした思い違いを防ぐには、ユーザー、ベンダー双方が「委託範囲」をよく理解しなければなりません。「何がベンダーからユーザーへ引き継がれ」「どういった体制・スケジュールの下で行われるか」も明確にする必要があります。「提案ルール」も一緒に提示すれば、ユーザーの期待した形でベンダーは提案できます。

RFPに含める項目

 RFPは次のような章構成で作成しましょう。

RFPの章構成

  1. 委託範囲
  2. 納品成果物
  3. 体制・役割分担
  4. スケジュール
  5. 前提条件
  6. 応札要件
  7. 費用
  8. 提案手続き

 サンプルとして、ITコーディネーター協会が発行する「RFPのドキュメント見本(開発編運用保守編)」を参照すると良いでしょう。

 ベンダーはこのフォーマットに慣れ親しんでいますので、似たような形でRFPを示せばベンダーの提案負荷を減らせます。また、「検討漏れ」を未然に防ぐことも期待できます。

 次ページから、各章の内容を見ていきます。

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