日本企業は、DX時代においても「アナログな関係」を重視する傾向 IDCが調査:ITベンダーもデジタルマーケティングを強化し始めてはいるが……
IDC Japanが、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)パートナー選定に関する調査結果を発表。選定には、既存ベンダーや知り合いからの情報といった「アナログな機会」を重視する傾向が強いことが分かった。
IDC Japanは2017年8月1日、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)パートナー選定に関する調査結果を発表した。
DXとは、クラウド、ビッグデータ、モビリティ、ソーシャルの4市場で構成される「第3のプラットフォーム」の技術を用い、「新しいビジネスモデルを通じて価値を創出し、競争上の優位性を確保する」ことを目的とするビジネス視点の概念。また、人やモノがデジタルデータでつながり、場所、時間、移動といった制約も廃した新たなビジネスを創造していくための技術や取り組みのことを差す。
調査によると、DXパートナーの選定には「当該パートナーとの人的コンタクト」や「他社の知り合いからの情報」「第三者の意見/見解」といった、アナログな関係を重視している率が高かった。ITベンダーもデジタルマーケティングを強化し始めてはいるものの、重視度や信頼度という観点で、ベンダーの営業などからの人的なコンタクトを重視していることが分かった。
この傾向はベンダーの選定結果にも影響を及ぼしている。DXのパートナーに「これまで取引のあったベンダーを選んだ」と回答した人が全体の半数を超え、既存のベンダーがDXの選定プロセスにおいても優位な位置にあることが明らかになった。
今回の結果からIDC Japanは、「日本企業が進めるITパートナー選定の動向は、DX時代になっても変わらないように見える」としながらも、「今後ますますDXが本格化し、より多くのプレイヤーが市場に参入してくれば動向が大きく変わる可能性はある」と分析した。
これを踏まえ、IDC Japanでリサーチ第3ユニットグループディレクターを務める寄藤幸治氏はベンダーやパートナーに向け、「企業のDXパートナーを目指す企業は、企業がパートナーに求める基準にどんな変化が起きているのかを見極めつつ、デジタルとアナログを融合した顧客アプローチ、営業/マーケティング戦略を考えていく必要がある」と提言している。
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