RubyやPythonができるからって何?――エンジニアがパーツに成り下がらずに生き残る方法:夏休みSpecial 山本一郎×細川義洋対談 キャリア残酷物語(1/3 ページ)
@ITの人気連載「開発残酷物語」の山本一郎氏と、「IT訴訟徹底解説」の細川義洋氏がエンジニアのキャリアについて、超真剣に話し合った。
2017年夏、@ITの人気連載「開発残酷物語」のナビゲーター山本一郎氏と、「IT訴訟徹底解説」の筆者細川義洋氏が、エンジニアのキャリア形成について汗だくになりながら話し合った。
細川氏は、NECソフト、日本アイ・ビー・エムでエンジニアやコンサルタントとして活躍した後、日本国内にも数十名しかいない、IT事件担当の民事調停委員に推薦され着任。2017年春まで数多くのIT紛争事件の解決に寄与してきた。@ITでは『「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説』など、IT紛争回避指南の記事を執筆している。
訴訟に至った悲惨なプロジェクトを数多く目の当たりにしてきた細川氏と、「開発残酷物語」でベンダーへのインタビューを通じてIT業界の「残酷物語」をコレクションしてきた「IT業界のヤコペッティ」こと山本氏。IT業界の大先輩であり、所属会社ではなく自分の名前で勝負しているお2人が考える、使い捨てにされないエンジニアになるためのキャリア形成法とは――?
我慢が必要な場合もある
これまでNECソフトや日本アイ・ビー・エムといった大手コンピュータベンダーを渡り歩いてきた細川氏に、山本氏が質問したのは、そうした「大手ベンダーで活躍するエンジニアたちは、どのようにキャリアを形成しているのか」ということだ。
「大手ベンダーのエンジニアの半分は、いわゆる技術者のキャリアとは異なるメンタリティを持っていますね。すなわち『大企業でどう出世していくか』というものです」(細川氏)
残り半分が「エンジニアとしてのキャリアを考えている人」ということになるが、細川氏によれば、「スゴい技術者になりたいという人はむしろ少数派」だという。
では、スゴいエンジニアを目指すほどではない“普通の”エンジニアはどうなのだろうか。
大企業では「人工知能をやりたい」などの希望を出しても、必ずしもその部署に配属されるわけではない。開発言語も分野も選べず、思い描いたキャリアパスが描けないというケースがままある。
自分のキャリアは、自分で選べないのだろうか。
「私の知り合いで、優秀な大学を出て大手ベンダーに入社したものの、汎用機の保守業務に配属された人がいました。当時はオープン系システムがもてはやされていて、その人もそちらに進みたいと考えていたのですが、未経験だからと希望を聞き入れてもらえませんでした。そこで彼は少しずつ自力で勉強し、5〜6年たったころでしょうか、努力が認められて異動がかない、オープン系システム開発の現場で活躍できるようになりました」(細川氏)
きちんとアンテナを張って、目的の方向に向かってさえいれば、時間はかかるかもしれないが、思い描いたキャリアを形成することもできるという。5年という期間をどう捉えるかは人それぞれだが。
「キャリアのことを1番考えているのは、僕のように会社を辞めちゃう人かも(笑)」とおどけてみせた細川氏だが、同氏が会社を辞めたのは、それぞれの会社である程度の経験を積んでからの話。
“次”を考えるのは、今の環境で吸収できるものを吸収しきってからでも良いのかもしれない。
「『もう少し我慢しろ、そこで培えるものもある』というパターンはありますね。我慢しきれずにベンチャー企業に転職したものの、経験不足で活躍できなかったという例を数多く見てきましたから」(山本氏)
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