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「ゲームがやりたくてBASICを覚える」時代、再び?――2017年最も読まれた@ITニュース記事とはPasocomMini MZ-80C、Windows 10 Creators Update、Google Cloud……

@ITは、2017年に約700本のニュース記事を掲載しました。その中で、最も読まれた記事とは何だったのでしょうか。

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 2017年も、「MUFGをはじめとした銀行APIの開放」「Windows 10 Creators Update/Fall Creators Update」といった出来事や、「人工知能(AI)」「IoT(Internet of Things)」に関する製品発表など、いろいろなことがありました。本稿では、2017年に@ITが掲載した約700本のニュース記事の中から、よく読まれた記事ベスト10を担当編集者のコメントと共に紹介します。

みんなゲームがやりたくてBASICを覚えた

 2017年の@IT年間PVランキング1位は「PasocomMini MZ-80C」の記事でした。中年世代には懐かしい往年のマイコン名機「MZ-80C」を手のひらサイズで実現し、BASICでプログラミングができるというニュースに、エンジニアの原点を回顧した読者も多いことでしょう。シャープが1979年にMZ-80Cを発売した当時、スペースインベーダーを始めとするTVゲームが大ブームでした。そう、「みんなゲームがやりたくてBASICを覚えた」のです。

 そのゲームの世界で2017年はエポックメイキングとなる出来事がありました。3月に発売した「Nintendo Switch」です。“流行の最先端”という名の某月刊誌が発表する年間ヒット商品ランキングでも2017年の1位を獲得。広大なハイラルの地を駆け回り、蛍光色インクを撃ち合い、赤い帽子のヒゲおじさんでレースや冒険をするために睡眠を削ったのは私(担当編集者)だけではないでしょう。

Switchで使えるコードエディタ「FUZE for Nintendo Switch」
Switchで使えるコードエディタ「FUZE for Nintendo Switch」

 そのSwitchで使えるコードエディタ「FUZE for Nintendo Switch」(発表時は「FUZE Coding Studio」)をFUZE Technologiesが発表、2018年第2四半期に提供を開始するとアナウンスしました。FUZEは、BASICをベースにしたプログラミング言語でWindows版、Raspberry Pi版、Tinker Board版が既にリリースされています。Switch版ではBASICベースの構文で2D/3Dのゲーム開発が行えるといいます。「ゲームがやりたくてBASICを覚える」時代が復活するのでしょうか!?

1位:懐かしの8ビット機が手のひらサイズで復活! BASICが動く「PasocomMini MZ-80C」登場

往年の8ビットパソコン名機「MZ-80C」をミニチュアサイズで再現した「PasocomMini MZ-80C」をハル研究所が発売する。BASICでUSB機器やGPIOの制御も可能。ハードウェアは「Raspberry Pi A+」を採用した。


銀行のAPI開放をきっかけに、API経済圏はどう変わっていくのか

 2017年3月6日に、三菱UFJフィナンシャル・グループが、“振込”も可能な銀行APIの開放を発表したニュース記事にはSNS上で多くの反応がありました。当時、銀行が提供するAPIとしては、口座の預金残高や入出金明細などの情報を参照するAPI、いわゆる“参照系API”が中心になっていて、振込などが行える“更新系API”の実現が待たれる中での発表だったため、大きな反響があったのでしょう。

 その後、2017年5月26日には、「銀行法等の一部を改正する法律」が成立。一定の条件を満たす企業であれば「電子決済等代行業者」として登録されることで、2018年4月以降、銀行APIを通じて口座情報の参照・更新を共に行うことが可能になりました。

 こうした動きを受け、今後、銀行はAPIを通じたビジネス拡大を目指す動きをさらに活発化させていくことが予測され、「電子決済等代行業者」となる企業もそれに呼応し始めています。銀行から始まったエンタープライズのAPI開放が、今後はどの分野で広がっていくのか。この辺りの動きは、2018年も追いかけていきます。

2位:三菱UFJフィナンシャル・グループ、“振込”も可能な銀行APIの開放を発表

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2017年3月6日、「MUFG{APIs}」を発表した。オープンAPIについての勉強会、MUFG{APIs}の発表会の模様をお届けする。


心躍る(?)Windows 10、二度の大きなアップデートを実施

 2017年、Windows 10は4月の「Windows 10 Creators Update」と、10月の「Windows 10 Fall Creators Update」と、二度の大きなアップデートが行われました。アップデートは新機能の追加やセキュリティの強化など、大きなメリットを提供します。しかし、一方でデメリットももたらすものです。例えば、企業では、利用しているWindows PCのバージョン管理や既存アプリの動作検証など、アップデートに伴う作業が増えたことでしょうし、多少なりともトラブルもあったことでしょう。それでも、こうした大型のアップデートにワクワクしてしまうのは、「テクノロジーがもたらす新たな可能性」を見たいからだと思います。次回のアップデートも期待してしまいますよね。願わくは、今度もトラブルなどありませんように……。

3位:「Windows 10 Creators Update」、2017年4月11日から順次提供開始 どんな機能が追加されるのか

Windows 10の大型アップデート「Windows 10 Creators Update」の正式公開日が決定。2017年4月11日から順次提供が開始される。また、上級ユーザー向けに4月5日から先行提供する手動アップデートの手段も用意する。


4位:「Windows 10 Fall Creators Update」に搭載される新機能まとめ

マイクロソフトはWindowsの次期大型アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」を2017年後半にリリースすると発表。Windows MRやiOS/Androidも包括したマルチプラットフォーム対応など、コンシューマー/技術者それぞれに向けた新機能を多数リリースする。


もともと「弱い」モバイルデバイスがサプライチェーン攻撃にさらされる

 サイバー攻撃者が標的型攻撃(APT)などで企業を狙う際、侵入口としてモバイルデバイスを使う事例が増えてきました。社内に置いた機器とは異なり、セキュリティ対策が甘いからです。モバイルデバイスに存在する幾つかの侵入ルートのうち、特に危険なのが、ユーザー自らがインストールするアプリケーションでしょう。例えば、Google PlayにAndroidアプリを登録する審査は、Appleの「App Store」の審査よりも甘いため、攻撃者はアプリケーションにマルウェアを仕込んで、ユーザーにダウンロードさせようとしてきます。

 その際に、攻撃者は「サプライチェーン攻撃」を使うことがあります。攻撃意図のない第三者がアプリケーションを開発する際に組み込むモジュールに、ひそかにマルウェアを仕込んでくるのです。多数のアプリケーションに提供されているモジュールを狙うため、一度サプライチェーン攻撃が成功すると、多数のアプリが影響を被り、被害が拡大する傾向にあります。

5位:Googleが「DDoS攻撃の踏み台にされていた」Androidアプリ300個を削除 「ユーザーが対策できること」とは

Google Playストアで配布されていた約300のアプリが、Androidデバイスをボットネット化するウイルスを拡散していたことが発覚。その背景と「ユーザーが対策できること」とは。


幅広いAIカテゴリー、気になるあの企業はどこに分類されている?

 2017年は、「AI」という言葉を聞かない日はないほど、数多くのAIに関するニュースがありました。ディップが公開した「AI業界マップ2017年夏最新版」は、その「AI」を取り扱う企業をカテゴリー別に分けたもの。このマップを見れば、「感情認識」をはじめ「ゲームAI」「ヘルスケア」「広告」など幅広いカテゴリーがあることが分かります。中でも、「解析系」カテゴリーでは60社、「統合開発」カテゴリーで56社が分類されています。どのような企業がいるのか、確かめてみてはいかがでしょうか。

6位:「AI業界マップ2017年夏最新版」、ディップが公開

求人情報大手のディップが、AI関連技術を開発し、その機能やサービスを日本で提供する企業をまとめた「人工知能業界マップ 2017年夏最新版」を公開した。


Windows 10でUbuntuが使えるようになったら、どうなる?

7位:Windowsストアで「Ubuntu」提供開始 「新旧並列実行も可能?」利用Q&Aも

WindowsストアでLinuxディストリビューション「Ubuntu」の提供が開始された。Windows 10上で、VMやOSの切り替えなしにLinuxコマンドを普通に利用できる環境が整う。SUSEやFedoraの提供も近日中に開始されるという。


 2017年7月10日(米国時間)、WindowsストアでCanonicalが支援するLinuxディストリビューション「Ubuntu」の提供が開始されたというニュース記事が第7位にランクインしました。ただ、このときの「Windows Subsystem for Linux(WSL)」は、まだβ版であり、その後、2017年10月から提供が開始された「Windows 10 Fall Creators Update」では正式版となりました。Ubuntuに限らず、複数のLinuxディストリビューションがサポートされるなど、大きな変更が加わっています。正式版については、記事「Windows 10に搭載されたLinuxサブシステムにおける、Windowsプログラムとの連携や日本語処理機能を検証する」にまとまっているので、せひご確認ください。

「アマゾン」と「Amazon Web Services」、そしてデジタル化の必然

8位:「アマゾンは本当に怖い」とファミリーマートの澤田社長、Google Cloudをフル活用へ

Googleは2017年6月14日、「Google Cloud Next Tokyo 17」を開幕。ファミリーマートがGoogleのコンサルティングおよびクラウドサービスを包括的に活用していくことを明らかにした。また、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)がGoogle Cloudのパートナーとなったことも発表された。


 この記事、「タイトルが紛らわしい」とのご指摘もいただきましたが、決して「AWSが怖い」と読ませようとしたわけではありません。最近も、イオンの岡田元也社長が記者会見で、アマゾンについて「小売業が気付いていないことを教えてくれた」「彼らがやっていることに追い付かなければ」と言い、今後3年で5000億円をデジタル化などに投資すると明言しました。日本の小売業にとってアマゾンは脅威以外の何物でもなく、このために各社はデジタル投資を迫られています。「アマゾンは本当に怖い」というファミリーマートの澤田貴司社長のコメントは、こうした危機感をはっきりと示しています。

Google Cloudは分かりやすい? 分かりにくい?

 「Google Cloudは何をしようとしているのか分かりにくい」と話す人がいます。Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureと、真っ向から対抗しようとしていないように見える部分があるので、そうした印象になるのも自然なのかもしれません。しかし、筆者には、「機械学習APIおよび機械学習プラットフォーム、アナリティクスなどで、とにかくGoogle Cloudを使ってみてください」というメッセージは非常に興味深いですし、バブリッククラウドにおける圧倒的なリーダーであるAWSとの差を縮めるには、当面こうした方法が一番だという判断も理解できます。

 Google Cloudはインフラ面でも特徴がありますが、それをいくら訴えても、実際に使ってみないとクラウドユーザーは実感できないということを認識しているのだと思います。永久無料枠に関する発表も、「とにかく試してみてほしい」という意図の表れだと考えられます。

9位:Google Cloud Platform、15のサービスで永久無料枠を提供開始

米グーグルは2017年3月10日、Google Cloud Next 17の3日目の基調講演で、15のサービスにおける永久無料枠を発表した、また、新規ユーザーを対象に、12カ月間有効な300米ドル分の無料試用権を提供開始した。


ゼロデイ攻撃におびえず、ありふれた脆弱性を恐れるべし

 対処法が存在しない脆弱(ぜいじゃく)性を突く「ゼロデイ攻撃」が、注目を集めています。市場では数百ドルから数十万ドルまでさまざまな価格で未知の脆弱性が販売されており、攻撃者はいつでも利用可能な“弾“を手にしていることでしょう。

 一方で、よく知られた脆弱性の方が対策の緊急性は高いといえます。攻撃者側の視点から見ると、コストゼロで実行でき、まだまだ未対策の機器があふれているからです。未知の脆弱性も心配ですが、セキュリティ対策の基本として、まずはOSやファームウェア、アプリケーションについて、知り得る限りの既知の脆弱性をなくしておくように努力することが大切ではないでしょうか。

10位:アップルが全OS対象のセキュリティパッチを公開、「何」が修正されたのか

アップルが「iOS 10.2.1」をリリース。併せて、「macOS」「watchOS」「tvOS」「Safari」「iCloud for Windows」のセキュリティパッチも公開した。




 以上、2017年のよく読まれたニュース記事ベスト10を挙げてみました。中には、覚えているニュースも幾つかあったのではないでしょうか。第6位にもあったように、@ITニュースに限らず2017年といえば、やはり「AI」に関係するものが多かったように思います。何でもかんでも「AI」といえば、ニュースとして取り上げてくれるのではないかという企業もあるのではないかと邪推してしまうほどでしたが、@ITとしては、「AI」に限らず本質を見失うことなく、バリューのある事象を厳選して紹介していきます。2018年も@ITをよろしくお願いします。

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