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御社に決めた、なんて誰が言いました?――愛(AI)と追装の日々コンサルは見た! AIシステム発注に仕組まれたイカサマ(4)(2/3 ページ)

正式受注を目指し、AIを活用したシステムのプロトタイプ制作に励むソフトウェア開発企業「マッキンリーテクノロジー」の面々。だが、顧客の要求は日増しに増え、もはや試作品の域を超えようとしていた。ところが……!

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増え続ける要求

 再開されたデモシステム作りは、想像した以上に負荷の高いものになった。見だしに使用する語句や時事ニュースの数はこれまでの十倍以上に及び、レイアウトの作成機能も既存のレイアウトから選ぶのではなく、AIが判断して作成する方式に変えた。開発作業はセールス中にもかかわらず5カ月にも及んだ。

 2017年6月――。

hidaka

 「カラーの広告も作るんですか?」

 季節が初夏を超え、梅雨に入ろうとするころ、生駒の要望を聞いた日高が目を丸くした。

ikoma

 「ええ。やはりデモは見た目が大切じゃないですか。クリエーターたちに『前回とは違う』ことをハッキリ分からせるためにも、そこはぜひ。それと、オペレーターがパラメーターを入れる画面も本番同様にWebベースのしっかりしたものにしてください」

 日高は息を飲んだ。これでは本番開発を行うのと変わらない。これまでに投入したシステムエンジニアの工数は、すでに20人月に達し、セールスの範囲を大幅に超えている。マッキンリーの技術部門からは、「いいかげんにしてくれ」というクレームが上がり、日高の上司からも、作業を心配するメールや電話が何度も寄せられていた。

 それでも、「ここまでの費用は、正式受注後には回収できる」と周囲を説得し、終わりの見えない作業に疲れたメンバーたちを鼓舞して作業の継続を命じてきたのだ。

 「さすがに、これ以上は……」

 言葉に詰まる日高に、生駒が少し口元を柔らげて言った。

 「実はですね。この自動広告作成システムの導入、もう本決まりになりそうなんです」

 「本当ですか!」

 日高は思わず声を高くした。

 「ええ。チラシ作成の自動化は経営上も必須だということが、役員たちにも浸透してきましてね。後は形式的な稟議だけなんですよ」

 「それは……」日高は目の周りが熱くなるのを感じた。ようやく、これまでの苦労が報われる。技術部門にも上司にも胸を張って報告できるし、担当したエンジニアたちもきっと喜んでくれるだろう。




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