DXのリーダー組織は専任組織の「第2のIT部門」 DX人材の確保は共創が鍵――IDC調査
国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)で中核を担う組織は、デジタル変革のために設置された専任組織の「第2のIT部門」が最多であることが判明。また、DXの実行局面で課題となる人材については、企業の枠を超えた人材確保や共創型デジタルプロジェクトが鍵になるという。
IDC Japanは2018年6月26日、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む国内企業で、DXの中核を担う組織についての調査結果を発表した。それによると、DXの専任組織として設置された「第2のIT部門」がデジタル変革のリーダー組織となるケースが最も多いことが分かった。
同調査は、情報サービス業と中央官庁・地方自治体を除くグループ連結従業員数300人以上の国内企業のうち、DXに取り組む企業のマネジャークラス以上の558人に対するアンケート調査と、6社に対する直接取材を実施したもの。
DXに取り組む組織として、「社長直轄などの専任部門」または「専任子会社」を第2のIT部門と位置付けた他、「組織横断プロジェクト」「事業部門」「企画部門」「情報システム部門」などに分類して、DXの推進体制を分析した。
第2のIT部門がDXをリード
調査の結果、DXに取り組む国内企業のうち、第2のIT部門を中核としている企業は27.9%に上った。次いで、組織横断プロジェクトが17.7%、事業部門が17.4%と続き、“第1のIT部門”である情報システム部門は13.1%にとどまった。
取り組み体制については、「既存事業とは独立してデジタル化に取り組み、新たな事業の創出を目指している」と回答した企業は、第2のIT部門をDXの中核に据える企業で31.4%、情報システム部門を中核とする企業では6.9%だった。
また、第2のIT部門を設置した企業は、企業トップのビジョン発信とチーフデジタルオフィサー(Chief Digital Officer:CDO)の設置の比率も高いことが分かり、トップ主導で“大胆なイノベーション”を目指す姿勢が顕著に見られたと分析。
さらに、DXの取り組みにおけるKPI(主要業績評価指標)で見ると、業務の効率化やリードタイムに重点を置く情報システム部門主導型のケースに比べ、第2のIT部門を設置した企業では、「協業や連携企業数」「新事業の構築数」「新事業の売上高/売上比率」を上位目標に選定しており、新事業への強い志向が見られるとしている。
課題はDX人材の確保
一方、DXの実行局面で最大の課題とされたのが、社外からの人材採用であることが分かった。この背景には、国内のIT人材数がITベンダーに大きく偏っていること、日本ではDX人材についても人材流動性が低いことがあり、最適なスキルを持つ人材の確保が大きな課題となっていると分析。
このことから、IDC Japanでは、企業の枠を超えた人材確保と共創型デジタルプロジェクトでDX人材の不足を補うべきと指摘。特にITベンダーに対しては、顧客との共創を通してビジネス知見を蓄積するとともに、顧客へのアウトソーシングサービスとDX人材の育成プログラムを実施して顧客を支援すべきと提言している。
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