日本企業でもAI導入が進む、調査レポートをAppierが発表:インドネシアと中国にAI熱
Appierは、「アジア太平洋地域でのデジタル変革の促進における人工知能の重要性」に関する調査レポートを発表した。既にAIを導入しているか1年以内に導入する日本企業は、調査対象のうち72%と高い。AI技術を利用する上で「顧客に関する予測的な知見の獲得」が課題と回答したのは44%だった。
Appier Japan(以下、Appier)は2018年9月5日、調査レポート「アジア太平洋地域でのデジタル変革の促進における人工知能の重要性」を発表した。同調査では、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)8カ国の企業を対象に、AI(人工知能)について、導入状況や直面している課題、目的、期待について調べた。
それによると、日本の調査対象企業のうち、72%が既にAIを導入しているか1年以内に導入すると答えた一方、「興味がない、当面の予定はない」と回答した企業は28%あった。日本企業がAIを利用する上での課題としていることは「顧客に関する予測的な知見の獲得」だった。
まず、AIの導入について日本では、「導入中、拡張中、機能改善中」と回答した企業の割合は47%、「12カ月以内に導入予定」は25%だった。その半面、28%の企業は「興味がない、当面の予定はない」と答えた。
APAC諸国全体では先進国よりも、途上国の方が「導入中、拡張中、機能改善中」と答える傾向にあった。APAC平均の55%に対して、インドネシア(65%)、中国(63%)、インド(62%)となった。「12カ月以内に導入予定」が26%、「興味がない、当面の予定はない」が19%だった。
日本はAPAC諸国と比べると、AIの導入に対して消極的であることが分かった。
次に、AI技術を利用する上で直面すると考えられる最大の課題については、「顧客に関する予測的な知見の獲得」との回答が日本では最も多く44%を占めた。次いで「データの収集と、データ増加に伴う大量データの効果的な統合」の41%、「適切なデータ管理および予測分析プラットフォームの構築」の35%が続いた。
これに対してAPAC諸国全体では、「データの収集と、データ増加に伴う大量データの効果的な統合」が最も多く53%。「適切なデータ管理および予測分析プラットフォームの構築」(52%)、「部門横断型チームの設置」(51%)がそれに続いた。
「データの収集と、データ増加に伴う大量データの効果的な統合」は、APAC諸国と日本に共通の課題となっていることが分かる一方、日本ではAPAC諸国に比べてデータ分析に関する回答が多かった。
事業運営の改善か、顧客体験の改善か
調査レポートではAI導入のメリットを2つに大別している。第1が、ビジネスプロセスの単純化や効率化、規模の拡大、リスク予測の強化といった「事業運営面」の改善。第2が、製品やソリューションの改善、革新の促進、顧客行動に対する理解の促進といった「顧客体験」の改善だ。
APAC諸国はAIに対して事業運営面の改善に期待していることが分かったという。8カ国を通して、事業の効率性の向上に期待しているという回答が70%に上った。
日本では「既存の製品やサービスの改善」との回答が最も多く50%を占めた。次いで「消費者インサイトの早期発見」(47%)、「さまざまなチャネルの消費者インサイトを向上させること」(41%)だった。
APAC諸国全体でも「消費者インサイトの早期発見」が最も多く54%、次いで「既存の製品やサービスの改善」と「市場の変化に対する予測能力と対応力の向上」(いずれも52%)だった。
最後に、ビッグデータ駆動型のAIソリューションに期待することについては、日本では「事業プロセスの生産性の向上やマーケティング機能の強化」が最も多く59%の企業が回答した。次いで「顧客価値とロイヤリティの向上」(47%)、「潜在顧客プロファイルの精度と完成度の向上」と「マーケティングミックスの最適化とROIの向上」(いずれも35%)だった。
APAC諸国全体でも「事業プロセスの生産性の向上やマーケティング機能の強化」が最も多く59%だった。次いで「知見の深掘りによる、顧客とのスマートな関係の構築」(55%)、「将来の予測による、潜在顧客の絞り込み」(54%)と続いた。APAC諸国では、AIソリューションに対して、オペレーションの改良に関連した項目に期待していることが分かった。
今回の調査は、アジア太平洋地域の日本、韓国、シンガポール、台湾、中国、インド、オーストリア、インドネシアの8カ国を対象としたもの。技術調達の意思決定プロセスに携わるビジネスリーダーとITリーダー合計260人を各国からほぼ同人数選んだ。対象業種は通信と保険、金融、IT、小売。
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