SOMPOシステムズ、サイボウズ、Microsoft、Google――企業がプログラミング教育に取り組む意義とは:特集:小学生の「プログラミング教育」その前に(9)(2/2 ページ)
みんなのコードは「コンピュータサイエンス教育週間」に全世界で実施されたプログラミング教育推進運動「Hour of Code」に合わせ、日本国内でのテクノロジー教育への関心を高める啓蒙活動を実施し、その一環として「パートナー企業 CSR取り組み報告会」を開催した。
日本マイクロソフトの活動報告
日本マイクロソフトのプログラミング教育の取り組みについて活動報告を行ったのは春日井良隆氏だ。Microsoftでは、オープンソースのプログラミング学習プラットフォームとして「Microsoft MakeCode」を提供している。この学習プラットフォームは、JavaScriptとブロックコーディングの両方を行ったり来たりできるのが特徴だ。特に日本国内では、「Minecraft: Education edition」と「micro:bit」にフォーカスし、MakeCodeによるプログラミング教育活動を展開しているという。
代表的な活動事例として、春日井氏は、WDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)による「MakeCode×micro:bit 200 Project」を紹介。これは、WDLCが国内の200の学校にmicro:bitを20個提供し、その学校から授業案やサンプルコードを提供してもらうというもの。提供された事例や授業案は他の学校と共有する他、優れた授業案は、「未来の学びコンソーシアム」の「プログラミング教育ポータル」に提案する。
併せて、社会貢献的な活動として、各地域の教育機関やNPO法人と共同で実施している「Programming for ALL」や、同社の社会貢献事業「若者TECHプロジェクト」による「わかものプログラミング体験オンライン講座」を紹介した。
Minecraft関連の取り組みについては「子どもたちが創る『スポーツで』みんなが豊かにくらすマチ」をテーマにした「Minecraft カップ 2019 全国大会」が間もなく開始される。教員向けには『ハナのマイクラでプログラミング冒険』という、Minecraftの使い方をマンガで解説する教本を配布し、教える側もサポートしているという。
「Hour of Codeの活動には2014年から毎年参加しており、2018年で5回目になる」と春日井氏。2017年には、Hour of Codeを全社的な取り組みにすべく、社員食堂に「Surface Hub」を設置し、各学校で実施したプログラミング教育の様子をライブ中継した。これが奏功し、2018年のHour of Codeでは、社員のボランティア参加人数が過去最多を記録したという。
「日本マイクロソフトが、プログラミング教育に取り組むことは、社会貢献というだけではなく、テック企業としての社会的責任だと感じている。日本のテック企業として、これからの子どもの教育を支えていく必要がある」との考えを述べた。
質疑応答で、「Minecraftは、保護者からは教材ではなくゲームという認識が強い。これに対して、どう説明したらよいのか」と問われると、春日井氏は、「Minecraftは、見た目がどうしてもゲームなので、保護者や先生に実際にプレイしてもらい、教材として活用できることを納得してもらっている」と答えた。
「社員にボランティアとして参加してもらうために工夫したことは?」との問いには、「ボランティアのトレーニングを毎日行うことで、希望者が集まりやすいようにした。また、子どもの目線でプログラミングを体験できるコーナーも設置した。さらに、社長や事業部長からのトップダウンとして、各部署でボランティアの社員を募集してもらった」と回答した。
Googleの活動報告
Googleの活動報告では、ミラー・スチュアート氏がGoogle for Educationチームの取り組みについて紹介した。
「Google for Educationチームでは、いつでも、どこでも、予算に合わせて刺激的な学習体験を提供することをミッションとしている。刺激的な学習体験とは、まさに今の日本政府が目指している『主体的・対話的で深い学び』と同義であると考えている」(スチュアート氏)
Google for Educationが提供している主なソリューションは、共有可能な端末である「Chromebook」、教師と生徒の共同作業を可能にする「G Suite for Education」、教師と生徒のスムーズなやりとりを実現するプラットフォーム「Google Classroom」の3つ。このうち、G Suite for EducationとGoogle Classroomは、学校向けに無償で提供しているという。
「これらのソリューションは、簡単で使いやすく、手頃な価格で、高い汎用性があり、高い効果を期待できることが特徴だ。いつでも、どこでも、どの端末からでもドキュメントにアクセスでき、生徒全員がリアルタイムで一緒に作業をすることが可能となる。さらに、教師が生徒と共同で作業できる機能も備えている」(スチュアート氏)
プログラミング教育に関わる取り組みとしては、「Made with Code」「Mind the Gap」「SCIENCE FAIR」などさまざまなプログラミングコンテンツをオンライン、オフラインを問わず提供。また、ChromeおよびChromebookでは、「プログル」「micro:bit」「LEGO education」「KOOV」「sphero」「SCRATCH」など、主要なプログラミング教材に対応している。
スチュアート氏は、「プログラミング教育は、21世紀を生きる子どもたちが創造力や共同作業を学べるものでなくてはならない。決して、タイピングやドキュメント作成、ゲーム、インターネットを学ぶものではないと考えている。今後、Google for Educationチームでは、日本でのプログラミング教育の取り組みをさらに推進していく」と意欲を見せた。
質疑応答では、「なぜGoogleは、プログラミング教育にコミットしているのか」という質問が上がった。この質問に対しては、「コンピュータサイエンスは今後、生活の一部になっていく。テクノロジー企業であるGoogleとして、この分野をサポートすることは必要不可欠であると考えている。またAI時代に向けて、プログラミングやデータを使って問題を解決するというプロセスを少しでも理解しておくことが重要であると感じている」と答えた。
「プログラミング教育に社員はどう関わっているのか」という質問には、「Googleでは、自分の担当する仕事とは全く関係のないことに20%の時間を使う『20%ルール』がある。その中で、プログラミング教育に興味のある社員に、ボランティアとしてさまざまな活動に参加してもらっている」と回答した。
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