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【次期Windows 10最新動向】2020年春リリース予定「20H1」機能アップデートの概要Windows 10 The Latest

2020年春にリリース予定の「20H1」のプレビューが1週間単位で公開されている。その状況をまとめてみた。また、Windows 10のリリース状況や不具合などを、MicrosoftのWebページで確認する方法を紹介する。

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「Windows 10 The Latest」のインデックス

連載目次

20H1プレビューの現状

 現在、Windows Insider Programでは、2020年春リリース予定の「Windows 10バージョン2003」のプレビューが行われているのみだ。これは開発コード「20H1」と呼ばれているが、そのプレビューは、2019年6月に入ってからは、ほぼ1週間単位で更新されている。原稿執筆時点では、2019年秋リリース予定の「Windows 10バージョン1909」のプレビューは行われておらず、その次のバージョンが先行している状態となっている。

 この20H1でいまのところ大きな改良は、WSLのバージョンアップ版となる「WSL 2」のみだが、細かい改良点も幾つかある。ここでは、2019年6月22日に配布開始された「Windows Insider Preview Build 18922」(以下、Build 18922と表記する)までを見ておくことにしよう。

20H1のプレビュー版の画面
20H1のプレビュー版の画面
WSL 2の実装や、Windows Inkワークスペースの変更などが行われる。

 Build 18922までの変更点には、下表のようなものがある。なお、20H1に関連するWindows Insider Programのブログには、この他の改良点なども記載されている。ただ、その中にはMicrosoft Storeで配布されているアプリ「スマホ同期」などの改良点も含まれており、すでに正式リリース済みのWindows 10 May 2019 Update(バージョン1903)でも利用可能になっている。ここでは、こうしたアプリなどの改良点については省いてある。

リリース日 ビルド 改良点
2019年4月10日 build 18875 日本語IME改良
2019年4月26日 build 18885 ディクテーション(音声認識)機能強化(特定言語のみ。日本語含まず)
2019年5月8日 build 18894 エクスプローラーの検索機能(インクリメント検索)
2019年5月15日 build 18898 [タスクマネージャー]− [パフォーマンス]タブで「ディスクタイプ」を表示
2019年6月5日 build 18912 ナレーター改良
2019年6月12日 build 18917 ダウンロードスロットリングオプション、 インクワークスペース、ナレーター改良、WSL 2
2019年6月19日 build 18922 言語設定、フィードバックハブ
リンク先は各ビルドのリリースノート(英語)
Build 18922までの主な変更点

階層が深すぎる言語設定にショートカットが追加

 Build 18922では、[Windowsの設定]アプリの[時刻と言語]−[言語]ページが改良されている。従来の[言語]ページは複雑で、目的のページにたどり着くまでに数回のクリックが必要な「深い階層」を持つ。日本語IMEの詳細設定のページも、この[言語]ページの下に作られた。

 20H1では、[言語]ページ先頭に目的別のアイコンを置き、該当のページへ直接移動できるようにした。

[Windowsの設定]アプリの[言語]ページ
[Windowsの設定]アプリの[言語]ページ
[Windowsの設定]アプリの[時刻と言語]−[言語]ページでは、トップにアイコンが配置され、対象別に言語関係の設定ページへ移動できるようになった。

 具体的には「Windows Display」「App & websites」「Regional format」「Keyboard」「Speech」の5つの設定カテゴリーとそれぞれに設定されている言語を表示する。これらはリンクになっていて、該当の設定ページへすぐに移動できる。

 例えば、[Keyboard]アイコンは、[Windowsの設定]アプリの[デバイス]−[入力]−[キーボードの詳細設定]に移動する。また、日本語関係では、MS-IMEの改良で、IMEの設定が[Windowsの設定]アプリに取り込まれた。これも深い階層にある設定項目だが、Microsoft IMEの場合、タスクバーのMicrosoft IMEアイコンや言語バーなどから直接開くことが可能だ。とはいえ、言語関連の設定の階層構造が浅くなったわけではなく、改良としてはどちらかというと対症療法的な感じがある。

Microsoft IMEの設定ページ
Microsoft IMEの設定ページ
20H1では、Microsoft IMEが改良され、設定ページが[Windowsの設定]アプリの[時刻と言語]−[言語]画面の「優先する言語」の[日本語]−[オプション]ボタンをクリックして、[言語オプション:日本語]を開き、「キーボード」の[Microsoft IME]−[オプション]ボタンをクリックした画面に移動している。なお、この設定ページには言語バーやタスクバー通知領域のMicrosoft IMEアイコンから直接開くことができる。

Windows Updateの「配信の最適化」が独立した設定ページに

 また、October 2018 Updateで[Windowsの設定]アプリの[更新とセキュリティ]−[Windows Update]から、Windows Updateの配信に関係する項目が独立し、[更新とセキュリティ]−[配信の最適化]となったが、さらに若干の変更が加わっている。

 ここにある[詳細オプション]では、Windows Updateのダウンロードで使う帯域やアップロード量を制限できたが、帯域の指定を絶対値(Mbps)でも設定可能になる。また、Windows Updateでは、他のPCに対してすでにダウンロードしたアップデートを提供する機能があるが、そのアップロードの帯域や月間での転送量を指定できる。

[配信の最適化]の[詳細設定]ページ
[配信の最適化]の[詳細設定]ページ
「配信の最適化」の詳細設定では、Windows Updateのダウンロードで使う帯域などを制限できるようになった。

エクスプローラーでインクリメンタルな検索候補表示が実現

 Windows 10の検索機能は、May 2019 Update(バージョン1903)で改良が行われたが、それに応じてエクスプローラーの検索欄も20H1では改良される。19H1までのエクスプローラーの検索欄は、検索履歴の表示が可能だったが、20H1からは、新しい検索機能が行うインデックス作成機能を使い、検索履歴だけでなく、検索語の入力に応じて条件を満たす対象をリストとして提示するインクリメンタル検索候補の表示も可能になった。

エクスプローラーの検索欄
エクスプローラーの検索欄
エクスプローラーの検索欄では、ポップアップリストでの検索履歴([時計]アイコン)のほかに、サムネイル付きのインクリメンタルな検索候補の表示が可能になった。なお、検索候補を右クリックすれば、「ファイルの場所を開く」「完全なパスをコピー」といった機能を選ぶことができる。

 インクリメンタル検索候補は、小さいながらサムネイル/アイコンも表示され、ここから直接フォルダを開いたり、パスをコピーしたりすることもできる。従来の検索結果を表示するページに移動するだけの従来の検索機能に比べるとかなり使いやすい。ただし、これを利用するためには、[Windowsの設定]アプリの[検索]−[Windowsの検索]−[ファイルを検索]ページで[拡張]を選び、PC全体の検索を行えるようにしておく必要がある。

「Windows Inkワークスペース」の改良は差し戻されるかも!?

 タスクバーの通知領域右側に配置できる「Windows Inkワークスペース」も改良が行われ、ポップアップが小さくなり、アプリケーションは、「全画面表示の領域切り取り」(切り取り&スケッチが起動する)と「Whiteboard(Microsoft Whiteboard)」のみになった。従来のInkワークスペースにあった「付箋」は、独立したアプリである「Sticky Notes」になっており、インジケーター領域の[Windows Inkワークスペース]アイコンをクリックした際に表示されるメニューには表示されなくなる。

Windows Inkワークスペースの変更点
Windows Inkワークスペースの変更点
Windows Inkワークスペースは大きく改良され、フライアウト(ポップアップ)が小さくなり、Whiteboard、全画面表示の領域切り取り(画面キャプチャー)、設定の3項目のみとなった。Whiteboardは、Microsoft Whiteboardというアプリケーション(現時点でもダウンロード可能)である。

 気になるのは、このInkワークスペースの変更が一部のテスターにのみ適用とされている点だ。この変更は元に戻される可能性もある。

 これまでのプレビューでは、全てのWindows Insider Program参加者に公開される機能と、一部のユーザーのみ(実際にはプレビュー版が動作する一部のPC)に公開される機能があった。後者は、その後、大きな変更があったり、最終版には含まれなかったりといったことがあった。このInkワークスペースは大きな変更(見た目もかなり違う)となるため、反応を見て、採用を決めるのではないかと思われる。

Windowsサンドボックス内でマイクが利用可能に

 Windows Insider Programのブログによれば、Windowsサンドボックスでマイクの利用が可能になり、かつオーディオデバイスの制御が設定ファイルで行えるようになったとのことだ。ただし、設定の書式などの詳細な情報がどこにも公開されていない。筆者が、Windows 10 May 2019 Update(バージョン1903 Build 18362.116)に付属のWindowsサンドボックスで試したところ、マイクからの録音は可能だった。

Windows 10のリリース状況や不具合などを確認する方法

 Windows 10は、半年ごとにバージョンアップする(機能アップデートが提供される)ため、更新される機能などに関する情報の確認が面倒だ。また、場合によっては、アップデートの適用を遅らせていることもあり、バージョンごとの状況を知りたいという場合もあるだろう。

 そういう場合には、Microsoftの3つのWebページが役に立つ。英語のページもあるが、Webブラウザの自動翻訳機能を使えば、内容が把握できるレベルのものだ。

最新版のリリース状況などを確認する

 最新バージョンのWindows 10に関しては、Microsoftが「『Windows Release Health Dashboard』と呼ぶページを見るように」と言っているが、これはWindows 10のバージョンごとの状況をまとめたものである。

 なお、上記のページをアクセスすると、原稿執筆時点では以下のWebページにリダイレクトされる。

 このWebページを開くと、どこにもダッシュボードなる表記がなく、少々戸惑うが、ここが正しいWebページである。

Windows Release Health Dashboardの画面
Windows Release Health Dashboardの画面
Windows Release Health Dashboardを開くと、現在ではバージョン1903の情報ページが開く。下へスクロールすると、Microsoftが把握している障害のリストが表示される。

 ここには、「Known issues(既知の問題)」として、Microsoftが把握している障害が表示される。各障害の「Status(状態)」には、「Investigating(調査中)」「Mitigated(緩和策あり)」「Resolved(解決済み)」と表示されており、障害の状況が簡単に把握できるようになっている。

 Windows 10をバージョンアップする際には、まずここを見て、自分に関係がある問題が発生中かどうかを確認できる。もっとも、いま自分に関係のある問題がないからといって大丈夫だとは限らない。取りあえずWindows Updateの一時停止や延期をしておき、大きな問題がなさそうなことを確認してから、一時停止や延期を解除してバージョンアップするのがよいだろう。

Windows 10のこれまでのリリース状況

 過去のバージョンも含めて、ビルド番号やリリース状態を確認したい場合には、以下のWebページが役に立つ。

「Windows 10 - リリース情報」画面
「Windows 10 - リリース情報」画面
「Windows 10 - リリース情報」は、これまでにリリースされたWindows 10のバージョンごとに、品質アップデートによる更新のリストを表示する。

 これは、バージョンごとに累積アップデート(ビルド番号の小数点以下が増える)のリリースをまとめたものだ。また、Windows 10 November Update(バージョン1511)のようにサポートが終了したものや、どのバージョンがLTSC(Long Term Servicing Channel:長期サービスチャネル)になっているかなども判断ができる。

 なお、Microsoftの用語が変わっているため、過去のものについては、CB/CBB(Current Branch/Current Branch for Business)、半期チャネル/半期チャネル (対象指定)といった表記が混在していることに注意願いたい。

 また、Windows 10 May 2019 Update(バージョン1903)からは、「半期チャネル (対象指定)」が廃止され、リリース直後から「半期チャンネル」の表記になっている。

Windows Insider Previewのリリース状態

 Windows Insider Programでプレビュー版を受け取っている方もいるだろう。プレビュー版のリリース状況に関しては、以下のWebページにまとめがある。

Flight Hubの画面
Flight Hubの画面
Flight Hubは、Windows Insider Programのリリース状態を表す。これを見ると、Windows 10は、最初にデスクトップ版が、そしてサーバ版、IoT版が順次作られることが分かる。また、ISOイメージやSDKのリリース状況もリストには表示できる。このFlight Hubはプレビュー専用のため、リリースプレビューリングに移行すると該当バージョンの更新が止まる。

 ここでは、アップデートごとにプレビュービルドが、「デスクトップ版Fast Ring」「Slow Ring」「サーバ版」「IoT版」、および「ISOファイル」「SDKプレビュー」の各リリース日が表示される。それぞれの日付は、対応するMicrosoftのブログ記事などへのリンクになっているため、各ビルドの概要を知ることも可能だ。


 「20H1」は、2020年年春のアップデートのプレビュー版である。2019年6月中は、ほぼ一週間に1回のアップデートで、開発はほぼ順調なようだ。大きな改良点はいまのところWSL 2のみだが、1年をかけて機能追加が行われていくことになる。

 これに対して、2019年秋のアップデートとなる「19H2」のプレビュー版が2019年7月1日になって公開された。簡単にいうと、Windows 10の年2回のアップデート体制の変更である。

 これまでは年2回の変更は同等の機能アップデートだったが、2019年からは、春の機能アップデートが新機能追加を主に行うバージョンアップとなり、秋の機能アップデートは、パフォーマンス向上やエンタープライズ機能、品質向上を目的としたもの、という機能アップデートと品質アップデートの中間的なバージョンアップとなるらしい。これについては別途記事で解説する予定である。

■更新履歴

【2019/07/06】[配信の最適化]項目が独立したのはWindows 10 October 2018 Updateであったため、内容を修正しました。

【2019/07/05】初版公開。


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