AI導入の課題は「スキル」や「ユースケース」の不足ではない、Gartner:従業員の代替がAI導入の目的なのか
AIや機械学習(ML)に取り組んでいる企業では、平均4つのAI/MLプロジェクトを実施している。プロジェクト数は2020年に倍、2021年にはさらに倍へと増えていく見通しだ。だが、AI/MLにおける課題も見えてきた。
Gartnerは2019年7月15日(米国時間)、人工知能(AI)や機械学習(ML)に取り組む企業についての調査「AI and ML Development Strategies」(AIとMLの開発戦略)の結果を発表した。
これらの企業では、平均4つのAI/MLプロジェクトを実施しており、回答者の59%は、自社でAIを導入済みだとしている。
Gartnerのリサーチバイスプレジデントを務めるジム・ヘア氏は、次のように指摘している。
「AIの導入が2019年に大きく加速している。AIプロジェクトが増加していることは、スタッフと資金がプロジェクトへ適切に配分されるよう、企業が組織再編の必要性に迫られている可能性があることを意味する。AIスキルを組織内に広げ、予算を確保し、優先順位を設定し、ベストプラクティスを最良の方法で共有するために、社内に横断組織として『AI Center of Excellence(AI CoE)』を確立することが最良の道だ」
現在、実施されているAIプロジェクトの数は平均4つだが、回答者はこの数字が年々急速に増えると予想している。2022年には、平均35のAIやMLプロジェクトが実施されるとの予想だ。
AIの使用目的は2つ――顧客エクスペリエンス向上とタスク自動化
自社がAIを使用する最大の目的について問われると、「顧客エクスペリエンスの向上」を挙げた回答者が40%と最も多く、これに次いで多かったのがRPA(Robotic Process Automation)としてAI/MLを使う「タスクの自動化」(20%)だ。
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