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「テレワークの実施率は高まったものの、出社率はそれほど下がっていない」 パーソル総合研究所が調査テレワーク実施率は緊急事態宣言後2倍に

パーソル総合研究所が、緊急事態宣言後に実施したテレワークに関する調査によると、この1カ月間でテレワークの実施率は2倍以上に増加していた。東京都に限ると半数に及ぶ。ただし出社率は6.2ポイントしか下がっておらず、不安や課題も明らかになった。

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 パーソル総合研究所は2020年4月17日、テレワークの実態に関する調査結果を発表した。今回の調査は、7都府県に緊急事態宣言が出された後に実施したもので、同社のテレワークに関する調査は同年3月に続いて2回目。その結果、1カ月間でテレワークの実施率は2倍以上に増加していた。

実施率は「7都府県で38.8%、それ以外の地域は13.8%」

 正社員のテレワークの実施率を見ると、緊急事態宣言後は全国平均で27.9%。前回の調査では13.2%だった。地域別に見ると、緊急事態宣言が出された7都府県では38.8%で、それ以外の地域の13.8%と比べると実施率は非常に高い。特に東京都では49.1%だった。

 テレワークの実施率はこの1カ月で高まったものの、出社率はそれほど下がっていなかった。緊急事態宣言後の初日に当たる2020年4月8日の正社員の出社率は、7都府県で61.8%。これは前日から6.2ポイントしか下がっていない。4月10日でも出社率は58.5%だった。

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2020年月と2020年4月のテレワーク実施率(出典:パーソル総合研究所

 パーソル総合研究所の主任研究員を務める小林祐児氏は「3月中旬からの1カ月間で、テレワーク実施率は増加しているが、出社せずにテレワークで全て完結できているわけではない。政府が要請する出社7割減には程遠い現状が明らかになった」と述べる。

テレワークに対する不安「相手の気持ちが分かりにくい」

 次に、テレワークの経験について聞くと、現在勤めている会社が初めてと回答した人の割合が68.7%を占め、今回の新型コロナウイルス感染症対策がきっかけだという人が多いようだ。そのため、テレワークに対する不安や課題も挙がっている。

 まずテレワークに対する不安に関する設問について「相手の気持ちが分かりにくい」と答えた人の割合が37.4%で最も多く、次いで「仕事をサボっていると思われないか」(28.4%)、「出社する同僚の業務負担の増加」(26.4%)と続いた。

 一方、課題では、「運動不足」を挙げた人の割合が73.6%に上った。次いで、「テレワークでできない仕事がある」(60.2%)、「必要機器がない(プリンタなど)」(47.8%)だった。特に初めてテレワークに取り組んだ人からは、「仕事に集中できない」や「仕事に適した机や椅子がない」との声も聞かれた。

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テレワークに対する不安(出典:パーソル総合研究所

 テレワークの課題として「労働時間が長くなりがち」を挙げた割合は21.0%にとどまった。この点は、テレワーク実施前後の変化からもうかがえる。「労働時間が減った」と回答した人の割合は36.2%、「業務量が減った」は37.6%だった。これに対して「労働時間が増えた」は9.6%、「業務量が増えた」は6.8%だった。

 この他、テレワーク実施前後の変化として、「上司とのやりとりが減った」(45.2%)、「同僚とのやりとりが減った」(50.0%)、「組織の一体感が低くなった」(36.4%)、「仕事への意欲・やる気が減った」(32.8%)といった回答が多く、同僚とのつながりが希薄化しがちな点もテレワークの課題になっているようだ。

5割が「テレワークは今後も続けたい」

 一方、テレワークに関する会社からの指示について尋ねると、「命じられている」と回答した人の割合は13.7%、「推奨されている」は27.0%。前回の調査では、それぞれ3.2%と18.9%だった。前回調査時に71.5%を占めた「特に案内がない(通常通り出勤している)」と回答した人の割合は、今回は53.0%だった。

 なお「新型コロナウイルスの感染が収束した後もテレワークを続けたい」との意向を示した人の割合は53.2%で、20代と30代に限ると6割を超えていた。

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新型コロナ収束後のテレワーク継続意向(出典:パーソル総合研究所

 小林氏は、今後のテレワークの拡大ついて次のように述べている。

 「企業間や個人間にあるテレワークの足かせを断ち切ることが必要だ。職場に危機感の薄い上司や同僚がいる場合、企業トップからのメッセージや出社の承認制の導入が有効だ。企業活動では相互のやりとりが生じ、納期や約束、書類、FAX、押印が必要な取引など、顧客や取引先の都合によって遠隔地で作業できないことは多い。業界団体などを通じた納期緩和や遠隔取引の依頼、通達がされることを期待したい」

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