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検証! 機能更新プログラムのバージョン固定とスキップを可能にするWindows 10の新機能山市良のうぃんどうず日記(185)

Windows 10 バージョン1803以降に、サポート終了までバージョンを固定したり、途中の機能更新プログラムをスキップしたりできる新しいポリシー設定が利用可能であることが明らかになりました。筆者が確認した限り、この機能はWindows 10 バージョン1803リリース当初から“隠し機能”として存在していたようです。

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山市良のうぃんどうず日記

MicrosoftのライフサイクルポリシーとWindowsの延期設定の矛盾

 「Windows 10」のバージョン1703から1909までは、Pro以上のエディションの「設定」アプリ→「Windows Update」→「詳細オプション」にある「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」を使用することで、機能更新プログラムや品質更新プログラムがリリースされてからインストールするまでの延期日数を指定できます。

 この機能は、それ以前のバージョンからあった「Windows Update for Business」(WUfB)ポリシーと同等の設定(対応するレジストリ設定は異なります)を、「設定」アプリからユーザー自身でできるようにするものでした。この機能の存在は、個人ユーザーがHomeエディションではなく、Proエディションを選択する動機付けにもなっていたと思います(画面1)。

画面1
画面1 Windows 10 バージョン1909(Pro以上のエディション)までの「設定」アプリの「Windows Update」にある「詳細オプション」。機能更新プログラムを最大「365日」、品質更新プログラムを最大「30日」延期できる

 本連載第183回で説明したように、残念ながら「詳細オプション」の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」は、「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」で廃止となりました(画面2)。

画面2
画面2 Windows 10バージョン2004の「詳細オプション」。「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」は廃止され、Homeエディションと共通に

 勘違いしないでいただきたいのは、WUfBポリシーはPro以上のエディションで引き続きサポートされ、「グループポリシー」や「ローカルポリシー」で構成できるということです。後述する新しいポリシーを含め、機能更新プログラムのインストールを詳細に制御できるというメリットに変わりはありません。他のメディアの記事のタイトルだけ見て、「Proエディションを選んだ意味がなくなった」なんて思うことはありません。

 WUfBポリシーやWindows 10 バージョン1909以前の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」で延期できる機能更新プログラムは最大で「365日」です。

 しかし、Microsoftが2018年9月から採用しているWindowsのライフサイクルポリシー(以下のWindowsライフサイクルのファクトシートを参照)では、各バージョンのライフサイクルの期間は基本「18カ月」で、EnterpriseおよびEducationエディション向けの秋(9月ごろに完成)リリースについては「30カ月」であり、Windowsで機能的に延期可能な最大日数を大きく超えています。

 このことは、ライフサイクルをフルに活用したいユーザーを混乱させるものでした。「Windows Server Update Services(WSUS)」などの企業向け配布ソリューションを利用すればライフサイクルをフルに利用できますが、個人ユーザーが導入できるものではありません。

バージョンの固定やスキップを可能にする新ポリシーとは?

 「Windows 10は勝手にアップグレードされる」という印象をお持ちの方は多いと思います。確かに初期のバージョンではそうでした。しかし、最近のバージョンではユーザーが指示しない限り、勝手にダウンロードとインストールが始まるということはありません。

 ただし、現在実行中のバージョンのライフサイクル終了が近い場合は自動配布の対象となります。また、前回説明したように延期設定をしている場合、その設定に従って自動的に始まる場合もあります。

 Windows Updateが新しいバージョンの機能更新プログラムを検出すると、利用可能であることが案内され、ユーザーが「今すぐダウンロードしてインストールする」(バージョン1903以前)または「ダウンロードしてインストール」(バージョン1909以降)をクリックしない限り、機能更新プログラムのダウンロードとインストールは始まりません。この機能は、Windows 10 バージョン1903以降は最初から搭載されており、Windows 10 バージョン1809と1803については2019年5月の品質更新プログラムで追加されました。

 以下の公式ブログおよびMDM(モバイルデバイス管理)向けの公式ドキュメントで説明されているように、Windows 10 バージョン1803以降では「TargetReleaseVersion」という機能更新プログラムの新たな制御方法が明らかになりました。

 新たな制御方法とは、グループポリシーやローカルポリシー、MDMポリシー「TargetReleaseVersion」に機能更新プログラムのバージョンを指定することで、現在のバージョンに固定したり、途中のバージョンをスキップしてアップグレード先のバージョンを指定したりすることができるものです。

 なお、この新たな制御方法はWUfBの機能の一部であるため、延期設定と同様、アップグレード先のバージョンの機能更新プログラムを検出するとユーザーの指示を待つことなくダウンロードとインストールを開始すると思われます。

 「TargetReleaseVersion」で現在のバージョンに固定した場合、この設定を変更または解除するか、サポートライフサイクルが終了するまで機能更新プログラムを受け取ることがないということです。つまり、この設定1つだけで、18カ月または30カ月のライフサイクル期間、フルに同じバージョンでWindows 10を利用できることになります。ライフサイクルの終了日は以下の「Windows 10リリース情報」の「サービスの終了」列で確認できます。

 グループポリシーやローカルポリシーの場合は、「コンピューターの構成\(ポリシー\)管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Update for Business」にある「ターゲット機能更新プログラムのバージョンを選択する」で構成できます。

 このWUfBの新しいポリシー設定は、Windows 10 バージョン2004には最初から存在します。Windows 10 バージョン1803以降では最近の品質更新プログラムで追加されました。Windows 10 バージョン1809で調べたところ、2020年4月の品質更新プログラムで管理用テンプレート「%windir%\PolicyDefinitions\WindowsUpdate.admx」に追加されていました。

実際に検証した結果は……

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