検索
連載

「仕事の楽しさ」は、51ならそれでよし仕事が「つまんない」ままでいいの?(74)(1/2 ページ)

「あなたは仕事が楽しいですか?」――と質問されて、一瞬、言葉が詰まってしまいました。はて、私は仕事が楽しくないのでしょうか?

Share
Tweet
LINE
Hatena

 「竹内さんは、仕事が楽しいですか?」――先日、20代の知人とランチを食べているときに聞かれました。何でも、いろいろな人に同じ質問をして「働きがい」みたいなものを考えている最中なのだそうです。

 仕事が楽しいか、だって……?

 若い世代からの不意の質問に、「あぁ、めっちゃ楽しいよ!」と自信を持って言えればよかったのですが、私は一瞬、言葉が詰まってしまいました。

 「うーん……そうだねぇ」

やりたいことはやっている。でも……

 いまの仕事を始めてからずっと、私は「自分がやりたいことを形にする」ことを目指してきました。

 2010年には職場環境や仕事で悩んでいる人たちを支援するNPO法人を立ち上げました。テーマは、「もっと『楽しく!』仕事をしよう」。楽しく働く人を増やすために、コミュニケーションの企業研修やコーチング、カウンセリングなどを行ってきました。

 2017年からは、地元新潟を拠点に、東京のIT企業サイボウズでも働く「複業」や「二拠点ワーク」など、イマドキの働き方をしています。

 近年はさらに、仕事を通じて都市部と地域を行き来する人を増やす地域複業やワーケーションなどの地域活性化の仕事にも関わるようになりました。

 おかげさまで、「これからの働き方」や「地方創生」の分野で声を掛けていただくことが増えてきて、やりたいことが形になってきていると実感しています。「やりたいことをやっていますね」といわれることも増えてきました。

 このように見てみると、私はかなり恵まれている方だと思います。「仕事が楽しいか?」と問われれば、「どちらかといえばYes」。それは、間違いありません。

 それにもかかわらず、若い知人から「仕事が楽しいですか?」と聞かれたとき、なぜか、「めっちゃ楽しいよ!」と自信を持って言えなかった……なぜだろう? 経営しているNPO法人のテーマは「もっと『楽しく!』仕事をしよう」なのに、自分が「楽しい」と言えないなんて、何だか笑ってしまいます。


あれ、何でボク「めっちゃ楽しいよ」って言えないんだろう

なぜ、「仕事が楽しい!」と言えないのか?

 やりたいことをやっているし、どちらかといえば仕事は楽しい。でも、自信を持って「めっちゃ楽しいよ!」と言えないのは、「楽しいとは言い切れないことが結構ある」という事実があるからかな、と思います。

 私の理想はこうです。

  • 仕事が思い通りに進んでいる
  • ちゃんと結果を出している
  • 利益がバッチリ出ている
  • 気の合う、いい仲間に恵まれている
  • 周囲からも信頼されている
  • 顧客ともすごくいい関係で、評価もされている
  • 問い合わせが殺到して、仕事が向こうからやってくる
  • 仕事にすごく集中できている
  • 得意なこと、好きなことが仕事の中心になっている
  • 気持ち的にとても充実していて、ワクワクしている
  • 時間的な余裕もある
  • プライベートも良好

 これらが全てかなっていたら、かなり充実しているはずだし、きっと「仕事? めっちゃ楽しいよ!」って自信を持って言えるはず。

 でも実際は、一生懸命働いているけれど、思うように進まないことが多いし、新しいことにチャレンジしているだけに、周囲から理解されない場合もあります。また、タスクに追われて忙しいことが多いし、結果を出さなければならないプレッシャーも大きいのです。「ちょっと一息つきたい」と思うことも、よくあります。

 つまり、やりたいことはやっているけれど、全てが理想通りにうまくいっているわけではない。その結果、自信を持って「100%楽しい」とはいえないのです。

 でも、よく考えてみたら、100%理想的な状態なんて、そうそうない。逆に、「この環境で仕事ができているだけでも、十分恵まれている。ありがたい」とも思います。

 それならば、「100%楽しい」でなくても、「おおむね楽しい」「総じて楽しい」でいいじゃないか。

 周りの人に伝えるのは、それでいいんだろうと思います。冒頭の「仕事は楽しいですか?」という質問に、今回は言葉が詰まってしまったけれど、次回は「いろいろあるけれど、ざっくりいえば楽しいよ」って答えれば、丸く収まりそうです。

 でもね……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る