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スキルシート詐欺が起こるメカニズムとエンジニアが取れる対処法:NO MOREスキル詐称(2/4 ページ)
本当は持っていないスキルや経験を“盛って”しまうスキルシート詐欺。未経験や微経験エンジニアを襲う犯罪行為は、なぜなくならないのでしょうか。
7割が詐称? 日本一適当な経歴書
スキルシートは、「エンジニアとしてのスキル、経験をまとめた経歴書」で、履歴書や職務経歴書とは別のものです。エンジニア(が所属する会社)は、スキルシートをプロジェクトのオーナーであるクライアントに提出し、スキルや経験が募集要項に合致していると判断されたら参画が決まります。
スキルシートは売っていません。フォーマットはなく、おのおのがExcelなどを使って作成します。
スキルシートは、他人が書いてしまうことが多い、不思議な書類です。以前弊社で、エンジニアを雇用する企業約100社に行ったアンケート調査では、「営業がスキルシートを書く会社」が14%ありました。エンジニアの経歴書なのに、営業が書いて提出しているのです。
「14%なら大したことない」と思われるかもしれませんが、よく見てください。「営業とエンジニアの両方が書く会社」が56%もあります。これらの多くは、最初はエンジニアが書くのですが、その後は営業が更新していきます。直近の情報を書いているのは営業であり、エンジニア本人ではありません。つまり、「営業がスキルシートを書く会社が14%」+「営業とエンジニアの両方が書く会社が56%」=70%が、本人以外の手が入っているのです。
「エンジニアが忙しいから営業が代筆している」「よりパワフルに見せるために、営業が表現を手直ししている」というパターンもあるとは思いますが、そればかりではないようです。
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