SI業界のエンジニアが陥りがちな「3つの地獄」:ツユダク、ネギダク、ご飯少なめ(1/4 ページ)
ITエンジニアが足りない、でも希望者は多い、でもいつまでたっても足りない――エンジニアはなぜ、いつまでも不足し続けているのでしょうか。
複雑怪奇なIT“業界”を解説する本連載、第1弾はIT業界にまん延する多重下請け構造と偽装請負について、第2弾は多重下請け構造が起こる仕組みについて、第3弾はシステム開発プロジェクトには複数の契約形態が混在することを、第4弾はユーザーはなぜプロジェクトに協力したらがらないのか、第5弾は「案件ガチャ」が起こるメカニズム、第6弾はベンダーの営業が安請け合いする理由、第7弾ではエンジニアの年収が上がらない理由、では第8弾と第9弾では、偽装請負の恐怖について解説しました。
今回は、SI業界のエンジニアがボーっとしていると陥りがちな「3つの地獄」のお話です。
エンジニアのふ化率は、天然サケより低い
ITエンジニアが不足している、という話を何年も前から耳にします。経済産業省が発行したIT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果では、「IT人材の不足、は2020年に約36.9万人、2030年には約78.9万人」と予測されています
でもね。私は、こう思うのです。エンジニア不足が問題なのではなく、エンジニアが育たないSI業界構造が問題なのでは……と。水不足といいながら、穴の開いたダムにジャンジャン雨が注ぎ込まれているのを放っておいている、そんな印象です。
日本では、エンジニアの約7割がSI業界で働いています。ですがその大半が「開発する」という経験を十分積めず、「エンジニアの卵」のまま。エンジニア未満の力量と収入のまま40代になり、営業への転向を余儀なくされてしまったり、転職してしまったりする例が後を絶ちません。
経験2年以上のエンジニアを年間300〜400人くらい面接している弊社人事の市場感によると、Webシステムの開発を本当に経験している人は応募者のだいたい3分の1くらいだそうです。約7割がエンジニアの卵のまま終わってしまうという、天然サケと同じくらいのふ化率です。
申し遅れました。私、「情報戦略テクノロジー」の稲葉と申します。連載第4回「案件ガチャはなぜ起きる」で、SI業界のエンジニアが良い案件に恵まれず育たない原因はスキルシートにある、というお話をいたしました。今回はもっと大枠、エンジニアが育たない原因はSI業界の環境や構造にあるのではという視点でいろいろ調べて分かったこと、また攻略法について考察、整理しました。
これからエンジニアになろうと考えている方、またエンジニアになって何年もたつのに成長できない、給与が上がらないと感じられている方の参考になれば幸いです。
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