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Azure Stack HCIの無料評価期間が60日に延長、より時間をかけた検証、評価が可能にMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(142)

Microsoftは2021年5月24日(米国時間)、2020年12月にリリースされた「Azure Stack HCI」の無料評価期間をこれまでの30日から60日に延長したことを発表しました。これにより、Azure Stack HCIの導入を検討している顧客や、Azure Stack HCIソリューションに対応した製品を計画しているパートナー企業は、より長い時間をかけて評価することができます。

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

Azure Stack HCIとは

 Microsoftは2021年5月24日(米国時間)、2020年12月にリリースされた「Azure Stack HCI」の無料評価期間をこれまでの「30日」から「60日」に延長したことを発表しました。これにより、Azure Stack HCIの導入を検討している企業や、Azure Stack HCIソリューションに対応した製品を計画しているパートナーは、より長い時間をかけて評価することができます。

 Azure Stack HCIは、Microsoft Azureのハイブリッドサービスとして提供される「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)クラスター」のための“専用OS”です。「Windows Server 2019」のServer Coreをベースに構築されており、現行バージョンは「20H2」、OSビルドは「17784」です。「Azure Stack HCIクラスター」を導入すると、WindowsまたはLinuxの高可用性仮想マシンをデプロイしたり、Azureのサービスである「Azure Kubernetes Service(AKS)」をオンプレミスに導入したりできます。

 Azure Stack HCIクラスターは、Azureに登録することで、正常性の監視やサポートの提供、課金(コア数に対する課金)、ハイブリッドサービスの利用が可能になります。Azureに常時接続されている必要はありませんが、30日に1回、接続される必要があります。

 Microsoftはこれまで30日間、無料で評価できるように、Azure Stack HCIのOSソフトウェアをダウンロード提供してきました。今回、評価期間が「60日」に延長されることが発表されました。評価期間を延長するために、追加の申請や設定は必要ありません。

 Azure Stack HCIのOSソフトウェアは、以下の製品サイトで無料試用版に登録することでダウンロードできます。

 Azure Stack HCIを本番環境で利用する場合は、以下の「Azure Stack HCIカタログ」に掲載されている、検証済みのハードウェアまたはAzure Stack HCIのOSがプリインストールされた統合システムを利用する必要があります。

 60日間の無料評価のためであれば、2台以上(最大16台)の一般的なサーバハードウェアにインストールして試用できます。また、1台の物理サーバの「入れ子になった仮想化(Nested Virtualization)」を有効化した複数のHyper-V仮想マシンを用いて、仮想環境にAzure Stack HCIクラスターを構築することもできます(画面1)。

画面1
画面1 Hyper-V上の入れ子になった仮想化を用いて、1台の物理サーバ上の複数の仮想マシンでAzure Stack HCIクラスターを構築し、評価できる

 仮想環境で評価する場合のセットアップ手順については、Azure Stack HCI 20H2評価ガイドの「Evaluate Azure Stack HCI 20H2 using Nested Virtualization」(英語)で詳しく説明されています。

 Azure Stack HCIクラスターは、HTML5ベースの管理アプリである「Windows Admin Center」の「Azure Stack HCIクラスターの展開」ウィザードを使用して、Hyper-V仮想スイッチやクラスタリング、記憶域スペースダイレクト(S2D)、SDN(オプション)を含めて、簡単にセットアップできます(画面2)。

画面2
画面2 各仮想マシンに割り当てた複数の仮想ハードディスクを使って、記憶域スペースダイレクト(S2S)も簡単に構成できる

 Azure Stack HCIクラスターを作成したら、30日以内にAzureに登録する必要があります(画面3)。評価のためにAzureへの登録は必須ではありませんが、ハイブリッドサービスなど、全ての機能を利用するには、Azureへの登録が必要です。Azureに登録しない場合でも30日間は機能制限なしで完全にオフラインの環境で機能します。ただし、Azureに登録しない場合、30日が過ぎると機能がロックされてしまいます。60日間をフルに使って評価するためにも、Azureに登録してください。

画面3
画面3 Azure Stack HCIクラスターのセットアップが完了したら、30日以内にAzureに登録してアクティブ化する。登録なしの場合でも30日間はオフラインで機能するが、30日経過後に機能(仮想マシンの実行など)が停止する

Azure Stack HCI対応が強化された「Windows Admin Center 2103.2」

 Azure Stack HCIの無料版60日延長発表の翌日、Windows Admin Centerのマイナーバージョン「2103.2」(ビルド1.3.2105.24004)が利用可能になりました。Windows Admin Centerバージョン2103を利用している場合は、Windows Admin Centerの自動更新機能、あるいはWindows Admin Centerの通知からすぐに更新できます。

 バージョン「2103.2」では、稼働中のリソース(仮想マシンやAKSクラスター)の可用性を維持しながらクラスターの各ノードに更新プログラムをインストールする「クラスターの対応更新」と統合された更新機能(画面4)や、Azure Stack HCIクラスター上でのAKSのサポート(画面5)、Azure Stack HCIクラスターのプレビューチャネル(次のバージョン「21H2」のプレビュー)への参加(非本番環境向け)機能を含む、幾つかの新機能の追加とバグ修正が行われています。Azure Stack HCIクラスターの更新では、次のバージョン(Azure Stack HCI 21H2)から機能更新プログラムによるローリングアップグレードが可能になる予定です。Azure Stack HCIクラスター上でのAKSのサポートは、Windows Admin Centerバージョン2103.2と同時に一般提供開始になりました。

画面4
画面4 「クラスターの対応更新」と統合されたAzure Stack HCIクラスターの更新
画面5
画面5 AzureのサービスであるAKSと共通のKubernetesクラスター環境を、オンプレミスのAzure Stack HCIクラスター上に簡単に準備できる

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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