「ITリーダーは従業員エクスペリエンスの向上に注力すべきだ」 Elasticが調査結果を発表:The Changing Role of the IT Leader
Elasticは、全世界で実施した調査「The Changing Role of the IT Leader」の結果を発表した。従業員エクスペリエンスを核とする適応型ビジネスモデルが事業の回復力を高め、持続可能な競争力を生み出し、効果的な事業成長の要になるという。
Elasticは2021年6月15日、全世界で実施した調査「The Changing Role of the IT Leader(変化するITリーダーの役割)」の結果を発表した。同調査は、10カ国のCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)とITリーダー1000人を対象に実施したもの。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行から1年がたち、世界の企業はどのような状態にあるのか。今回の調査では、IT予算の変化や企業の優先事項などについて調べた。
欧州各国の企業の多くは「サバイバルモード」
COVID-19の影響を受けた自社の状況を最も適切に表すのは「サバイバルモード」(Survival mode)、「現状維持モード」(Maintenance mode)、「成長モード」(Growth mode)のどれかを聞いた。結果は、サバイバルモードは33%、現状維持モードは59%、成長モードは8%だった。
国別に見ると、欧州各国の企業の多くはサバイバルモードにあった。ドイツの60%、オランダの64%、フランスの59%がサバイバルモードの企業だった。それに対して北米企業は75%が現状維持モードで、成長モードにある企業の割合が最も高い国は中国(21%)と日本(16%)だった。
コロナ禍前後での「優先する取り組み」の違い
コロナ禍前後で最も優先している取り組みを聞いた。コロナ禍前は「カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上」(62%、複数選択、以下同)、「収益増加」(56%)、「製品/サービスの向上」(51%)がトップ3を占めたのに対して、コロナ禍後は「ビジネスや市場の変化への対応スピードアップ」(67%)、「デジタルビジネスへの移行を加速」(59%)、「CXの向上」(54%)だった。
IT関連事項に絞ると、コロナ禍前のトップ3は「スケーリング可能な優れたIT運用やプロセスの実現」(75%。複数選択、以下同)、「戦略的なビジネスの優先事項に合わせてITを整備」(72%)、「クラウド展開戦略の策定と実施」(68%)。
コロナ禍後は「ITコストの削減」(78%)、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の課題に合わせたITスキルと職責の確立」(77%)、「CXを向上させる取り組みにリソースを移行」(73%)だった。
ITリーダーにとって優先すべき取り組みとは
ITリーダーとしての全体的な成功を考えた場合、自身の成功にとって重要な要素を聞くと、「サイバー脅威に対する防御力の強化」と回答した割合が78%で最も高かった。
従業員エクスペリエンスに関する投資について聞いたところ、テレワークの生産性とパフォーマンスを上げるため、60%のIT企業が従業員エクスペリエンスの向上に投資していることが分かった。一方で、テレワークを支援するためのツールや社内ポリシー/マニュアルを入手できていないITリーダーの割合は60%だった。
ElasticのIT部門ヴァイスプレジデントを務めるキム・ハフマン氏は次のように述べている。
「COVID-19の世界的流行から1年が経過した今、ITリーダーが従業員エクスペリエンスをあらゆる技術に関する意思決定の中心に据えるべきときが来ていることをデータが示している。ITリーダーは従業員を支援し、次世代の日常や完全に変化した就労形態に適応するために、社内プログラムを迅速かつ劇的に進化させ、加速させなければならない」
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