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「ゼロトラスト」導入状況、調査レポートをMicrosoftが発表ゼロトラストがセキュリティの最優先事項に

Microsoftは、「ゼロトラスト」の導入状況に関する調査レポートを発表した。2020年の調査と比較すると導入や理解が大きく進んだものの、実装に必要な時間とリーダーシップの欠如が課題となっていることが分かった。

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 Microsoftは2021年7月28日(米国時間)、「ゼロトラスト」の導入状況に関する調査レポート「Zero Trust Adoption Report 2021」を発表した。

 ゼロトラストは現在、サイバーセキュリティ戦略の指針となる考え方やアプローチとして注目されている。同レポートは米国やドイツ、日本、オーストラリア、ニュージーランドにおいてセキュリティに関する意思決定者約1200人以上を対象とした調査の結果をまとめたものだ。

 レポートのハイライトは次の通り。

ゼロトラストがセキュリティの最優先事項に

 回答者の96%がゼロトラストは自社の成功にとって「非常に重要」(55%)または「ある程度重要」(41%)と答えた。

 セキュリティ分野で今後、ゼロトラストが推進されるのは確実だ。ゼロトラストのメリットとして多くの企業が挙げているのは、「セキュリティとコンプライアンスのアジリティ向上」(37%)、「脅威の検知および修正の迅速化」(35%)、「顧客データの保護強化」(35%)、「セキュリティアナリティクスの分かりやすさ、利用しやすさの向上」(34%)だ。

ゼロトラストに対する認知や導入が急拡大

 回答者の90%が「ゼロトラストに精通している」と答え、76%が「ゼロトラストを実装している」と答えている。

 2020年の調査では、これらの割合はそれぞれ20%、6%だった。つまり比率が急速に伸びたことになる。


ゼロトラストの導入状況(出典:Microsoft

 なお「実装している」と答えた76%をさらに細かく見ると、「ゼロトラストを本格的に実装している」が35%、「実装を進めている」が42%となっている(四捨五入により、合計は76%にならない)。

ハイブリッドワークが導入を後押し

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を背景に、オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドワークへの移行が急速に進んでいる。このこともゼロトラストの導入拡大の大きな要因となっている。

 回答者の81%が、「ハイブリッドワークを導入し始めた」(50%)か、または「ハイブリッドワークを実施中」(31%)だ。ハイブリッドワークによってITが複雑化する中、ゼロトラストは、セキュリティを維持する上で極めて重要になる。

過半数が自社は先を行っていると自信

 回答者の52%が「ゼロトラストの導入が計画よりも早く進んでいる」と答え、57%が「自社は他社よりも先行している」と答えている。

 COVID-19の感染拡大が始まって以降のこの18カ月における社会の動きが、ゼロトラストの導入に大きな影響を与え、企業が自信を持って導入の取り組みを効率的に進めていることは明らかだ。

何が導入の障害となっているのか

 ゼロトラスト戦略の導入が急速に進んでいる。しかし、さらに導入を進めようとすると、さまざまな課題があることが分かった。大きく「リソース」「リーダーシップ」「技術」「ベンダー」「予算の制約」という5つの課題があり、特にリソースとリーダーシップに問題がある。

 ゼロトラスト戦略の実施に必要な時間と、リーダーシップによるサポートの欠如が障壁のトップだった。リーダーシップの課題はオーストラリアとニュージーランドでは65%と特に顕著だった。


ゼロトラスト導入の妨げとなる課題 左からリソース、リーダーシップ、技術、ベンダー、予算の制約(出典:Microsoft

ゼロトラスト重視が続き、予算も増える見通し

 回答者の5割以上が、2023年までの2年間に、「ゼロトラスト戦略の相対的な重要性が高まる」と予想している。

 意外なことではないが、73%は「ゼロトラスト予算が増える」との見通しを示している。企業がゼロトラストのメリットを理解し、リーダーがゼロトラストを推進しているため、これらの割合は今後、さらに上昇しそうだ。

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