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「2024年8月末」で廃止されるMicrosoft Azureのサービス、API、SDK、ツールへの対応に備えようMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(154)

Microsoftは2021年8月、「2024年8月31日」に廃止予定のMicrosoft AzureのサービスやAPI、ツールを一斉発表しました。後3年ありますが、利用中のものがある場合は廃止までに対応を検討、実施することをお勧めします。

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

3年後の「2024年8月末」に提供/サポートを終了するサービス

 本連載の第135回では、「2024年2月末」にサポートが終了する「Microsoft Azure」のサービスについて取り上げました。2021年2月に多数のサービスの終了が予告され、3月にはAzure IaaS(Infrastructure as a Service)の初期のデプロイモデルである「Azure Service Management(ASM)」の2年後の提供終了という大きな変更について取り上げました。そして、ARMベースの「仮想マシン(クラシック)」を、現在のAzureの標準デプロイモデルである「Azure Resource Manager(ARM)」へ移行することを勧める助言をしました。

 Microsoftは2021年8月下旬、「2024年8月末」に多数のサービス、API、SDK、サービスの機能の一部の廃止およびサポート終了予定を発表しました。2月にも言いましたが、サービス構成を変更することなく長期間利用している場合は、互換性を維持するためにレガシーな方法が利用されている場合があります。影響を受けるものがないかどうかを確認し、3年後の廃止に余裕を持って備えてください。




Azure PaaS/IaaS初期のデプロイに影響する可能性大

 Azureは最初、PaaS(Platform as a Service)を提供するクラウドサービスとして2010年1月に正式にサービスを開始しました(当時の名称は「Windows Azure Platform」)。2012年6月から仮想マシンの実行が可能なIaaSのプレビュー提供を開始し、2013年4月から正式にサービスを開始しています。Azure仮想マシンの「Aシリーズ」のBasic(開発/テスト向け)とStandard(運用環境向け)は、その当時から利用可能なサイズです(画面1)。

画面1
画面1 AシリーズはAzure IaaSが利用可能になったときから提供されているサイズであり(画面左)、Azureの新しいポータルがGA(2015年12月)してからしばらくはAシリーズが主流だった

 現在も「旧世代のサイズ」として、新規デプロイで選択することが可能です(画面2)。ただし、この旧世代のサイズはPremiumストレージ(SSD)に対応しておらず、コストパフォーマンスも良くないため、新規デプロイで選択することはかなり以前からなくなっているはずです。後継となるPremiumストレージに対応した「Aシリーズv2」が2016年11月から利用できますし、現在は、より優れたスペックで、より低価格で、さまざまなシナリオにコスト効率良く柔軟に対応できるサイズが多数存在します。

画面2
画面2 Aシリーズは現在でも「旧世代のサイズ」として、新規デプロイで選択できる

 Azure IaaSの初期から存在するAシリーズが、2024年8月末で廃止されます。OSのサポートライフサイクルを考えれば、Azure IaaSの初期にデプロイした仮想マシンを現在まで継続して運用しているというケースは少ないと思いますが、特に古いデプロイについては念のために確認し、Aシリーズであれば2024年8月末までにサイズを変更してください。

 当時のメインストリームである「Windows Server 2012」および「Windows Server 2012 R2」のサポートライフサイクル(延長サポート)は「2023年10月10日」で終了します。Azure仮想マシンの場合は無償の「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」でさらに3年間、重要なセキュリティ更新を受け取ることができますが、その場合、Aシリーズ廃止の影響を受けないように対応してください。

 2024年8月末には、「HBシリーズ」も廃止されます。HBシリーズは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)向けのサイズの一つであり、特に、流体動力学や陽解法有限要素法解析、気象モデリングなど、メモリ帯域幅が要となるアプリケーション向けに最適化されています。影響を受ける場合は、同等のスペックを備える別のシリーズ(HPC向けのシリーズは他にもあります)に変更してください。

 「クラウドサービス(クラシック)」については、本連載第133回でも少し触れましたが、Azure PaaSおよびIaaSのASMデプロイに対応したものです。ASMベースの「仮想マシン(クラシック)」(VMロール)は「2023年3月1日」にサービスが廃止されますが、Azure PaaSのレガシーなサービス(WebロールやWorkerロール)についても、「クラウドサービス(クラシック)」の廃止で利用できなくなる予定です。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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