DXへの取り組みで日本は米国に後れを取っている IPAが「DX白書2021」を発刊:米国は「デザイン思考」「アジャイル開発」「DevOps」を活用
IPAは「DX白書2021」を発刊した。発刊に当たって実施した比較調査では、日本企業は米国企業よりもDXへの取り組みが遅れていることが分かった。
情報処理推進機構(IPA)は2021年10月11日、「DX白書2021」を発刊した。日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援することを目的として、日米企業のDXの現状やDX推進への課題と対策などを包括的に解説している。IPAのWebサイトでダウンロードが可能だ。
DX白書2021の最大の特徴は「日米企業のDX動向について比較調査を行ったこと」とIPAは言う。調査は経済産業省の「情報処理実態調査」の調査対象範囲に含まれる26業種の経営層、IT関連部門の責任者を対象に実施した。日本では534社分、米国では369件の有効回答を得た。
AI技術の活用が進むが、アジャイル開発やDevOpsなどは遅れている
比較調査結果によると「DXに取り組んでいる」と回答した割合は米国企業の71.6%に対して日本企業は45.3%だった。DX実現に向けて「経営者・IT部門・業務部門が協調できている」と回答した割合は、米国企業の86.2%に対して日本企業は39.9%だった。
事業戦略上の変革を担う人材の「量」について不足していると回答した割合は米国企業が43.1%に対し、日本企業は76.0%と人材不足を強く感じていることが分かった。
社員のITリテラシー向上に関する施策として「社内研修・教育プランを実施している」と回答した割合は、米国企業の54.5%に対して日本企業は22%だった。IPAは「まず社員のITリテラシーの現状を把握することで、適切な研修プログラムや施策を実施することが重要だ」としている。
ITの活用についても米国企業との差は大きい。AI(人工知能)技術の活用状況では「導入している」と回答した日本企業の割合は20.5%で、2020年の調査と比べて約5倍に増えたものの、米国の44.2%とはまだ差がある。DX推進に有効な開発手法とされる「デザイン思考」「アジャイル開発」「DevOps」の活用状況は、日本企業ではそれぞれ14.7%、19.3%、10.9%なのに対して、米国では53.2%、55.0%、52.6%と大きく水をあけられている。
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