SQL Server 2008/2008 R2とWindows Server 2008/2008 R2に「4年目」の拡張セキュリティ更新プログラム提供開始(Azureのみ):Microsoft Azure最新機能フォローアップ(162)
MicrosoftがSQL Server 2008/2008 R2、Windows Server 2008/2008 R2、Windows 7に有償または無償提供している最大3年の「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」が、最後の3年目が既にスタートしているか、2022年早々スタートします。もともと1年単位の購入で最大3年ということでしたが、ESUが無料提供されるAzure上のインスタンスについては4年目のESUが提供されることになりました。
拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)とは
「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update、ESU)」は、製品のサポートが過ぎた特定のMicrosoft製品向けに、最大3年間のセキュリティ更新プログラムを提供する有償または無償のオプションです。
「SQL Server 2008」および「SQL Server 2008 R2」に初めて適用され、その後、「Windows Server 2008」「Windows Server 2008 R2」「Windows 7」でも利用可能になりました。SQL Serverでは緊急のセキュリティ問題を対象とした更新プログラムがESUとして提供され、Windows ServerおよびWindowsには緊急または重要レベルのセキュリティ問題を対象とした更新プログラムがESUとして提供されます。新機能やその他のバグ修正は提供されません。
ESUは1年ごとに購入する必要があり、途中から(例えば、2年目や3年目から)購入することはできません。Microsoft Azure上のインスタンス(およびオンプレミスに設置されるMicrosoft Azure Stack上のインスタンス)については、対象製品に対するESUが追加のコストや手順なしで無料提供されます。
SQL Server 2008/2008 R2では、最後の3年目となるESUが2021年7月に始まりました。また、2022年1月9日からは、Windows Server 2008/2008 R2とWindows 7の最後の3年目となるESUが始まります。
オンプレミスについては、SQL Server 2008/2008 R2が「2022年7月12日」で、Windows Server 2008/2008 R2とWindows 7が「2023年1月10日」でESUが完全終了ということになります。
一方、Microsoft Azure上のSQL Server 200/2008 R2とWindows Server 2008/2008 R2インスタンスについては、4年目のESUが提供されることが既に発表されており、さらに1年、ESUを継続して受け取ることができます。
この追加措置は、SQL Server 2008/2008 R2の3年目のESUがスタートした2021年7月14日(米国時間)に、「SQL Server 2012」「Windows Server 2012/2012 R2」に対するESUの提供予定に合わせて発表されたものです。Microsoft Azure上のインスタンスであっても、Windows 7に対する4年目のESUは提供されません(画面1〜3)。
- Free Extended Security Updates only on Azure for Windows Server 2012/R2 and SQL Server 2012[英語](Microsoft Azure)
![画面2](https://image.itmedia.co.jp/ait/articles/2112/07/vol162_screen02.png)
画面2 Microsoft Azure上のWindows Server 2008/2008 R2には4年目のESUが提供され、「2024年1月9日」までセキュリティ更新プログラムを受け取ることができる
4年目のESU(Azureのみ)が提供される製品の新たなライフサイクルについては、以下のWebページで確認してください。
- Microsoft SQL Server 2008(Microsoft Docs)
- Microsoft SQL Server 2008 R2(Microsoft Docs)
- Windows Server 2008(Microsoft Docs)
- Windows Server 2008 R2(Microsoft Docs)
新たに始まる最大3年のESU
次に製品サポートの終了を控えているSQL Server 2012とWindows Server 2012/2012 R2についても、ESUの提供スケジュールが発表されています。
2022年7月12日に製品サポートが終了するSQL Server 2012は、2022年7月13日から1年目がスタートする最大3年のESU(2025年7月8日まで)が用意されています。また、2023年10月10日に製品サポートが終了するWindows Server 2012/2012 R2は、2023年10月11日からスタートする最大3年のESU(2026年10月13日まで)が用意されています。Windows Server 2012 R2と同じOSビルドで2023年1月10日に製品サポートが終了する「Windows 8.1」は、Windows 7とは異なり、ESUの提供予定はありません。
各製品最大3年のESUの提供スケジュールについては、以下のWebページで確認してください。
- Microsoft SQL Server 2012(Microsoft Docs)
- Windows Server 2012(Microsoft Docs)
- Windows Server 2012 R2(Microsoft Docs)
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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