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オーディションに落ちたあの日、僕は夢を失ったGo AbekawaのGo Global!〜具 彰昡編(前)(1/2 ページ)

アニメの声優に憧れて来日した韓国の青年。だが夢は破れ、天災で就職もままならず、コンビニやネットカフェでアルバイトをする日々が続く――。

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 国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回は、人材派遣を中心としたHR企業「ウィルグループ」で、国籍混交チームを率いて自社アプリを開発している具 彰昡(ク・チャンヒョン)さんにお話を伺った。アニメの声優になるために日本語を学び大学に留学した青年は、その後長く続くブルーの時代に突入していく――。

 聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。

声優になりたくて、慶応大学に留学した

阿部川“Go”久広(以降、阿部川) お生まれはどちらですか。

具 彰昡(ク・チャンヒョン、以降クさん) 1986年4月18日に韓国の釜山で生まれました。高校を卒業するまで釜山にいて、その後日本に留学しました。

 小学校に入るまでは、結構活発な子どもだったと思います。友達と一緒に遊んだり、いろいろなところに遊びにいったりして。小学校の高学年で塾に行くようになり、勉強に時間を取られるようになり、少しずつ内向的になりました。

阿部川 韓国の学校制度は小、中、高、大と日本と同じですね。高校では好きな科目や得意な科目はありましたか。

クさん 数学は好きだったかな。でも「何かを証明せよ」といった類いの問題は嫌いでした。答えを引き出すのは結構好きだったけれど、答えを引き出すための証明をすることは苦手でした。

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幼少期のクさん。キリリ

 高校1年生の終わりごろに友達から日本のアニメを紹介してもらって「すごく面白い!」と思いました。それをきっかけに日本の音楽や文化にも興味を持ち、日本語の勉強を始めました。

阿部川 アニメはどんなものが好きだったんですか。

クさん 最初に見たのは「ラブひな」でした。アニメではないですが、坂本真綾という声優さんの曲がすごく好きでした。当時の韓国の曲は恋愛を歌うものばかりだと思っていたし、友達は(カラオケなどで)バラードばかりを歌っていたので、ちょっと飽き飽きしていたんですよね。そんな中で聞いた彼女の曲は新鮮で、胸に刺さって魅了されました。

 高校を卒業したら声優になりたいと思いました。声優になるためには専門学校に通う必要がある。でもビザなしで日本に行っても長期滞在はできない。ならば学生ビザを得るために日本の大学に留学しよう、と考えました。韓国は、留学生試験で高得点を取ってさまざまな試験をクリアすると、留学できるんです。


編集中村
編集 中村

私の話で恐縮ですが、地方から東京に行ったときのことを思い出しました。当時の私からすると東京は憧れだけど怖い場所でした。同じ国内であっても未知の場所は恐怖の対象だったのに、クさんをはじめ、Go Globalでインタビューするエンジニアは純粋でシンプルな情熱を持って来日される方ばかりで驚きます。


阿部川 声優になりたい気持ちを秘めつつ、慶応義塾大学の経済学部に入学します。大学ではどのような勉強をしたのですか。

クさん 経済学全般、ミクロもマクロも。簿記など基本的なことは全部学びました。

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大学生のころのクさん。熱唱中

阿部川 その間、声優になる夢は持ち続けていたんですよね。

クさん はい。大学1年の終わりごろに専門学校のオーディションを受けました。でも、他の受験者は僕とはくらべものにならないぐらいアニメに熱心で、本気だったんです。そのとき、「あ、自分は向いていないな」と思っちゃったんです。

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