テレワーク拡大で増える「スマートフォンを使ったIP電話」、音質を左右する要因を知っておこう:羽ばたけ!ネットワークエンジニア(50)
テレワークの拡大でスマートフォンをクラウドPBXの端末として使い、在宅勤務時でもオフィスにいるときと同様に電話を使えるようにする企業が増えている。そこで気になるのが音質だ。今回はスマートフォンを使ったIP電話の音質を決める要因について述べる。
スマートフォンで090あるいは080から始まる電話番号で電話をするときには、元々スマートフォンに組み込まれている通話ソフトウェアを使う。しかし、クラウドPBX(構内電話交換機)のIP電話端末としてスマートフォンを使って内線通話や外線発着信をするには、クラウドPBXと通話するための通話アプリケーション(ソフトフォンともいう)をスマートフォンにインストールする必要がある。通話アプリケーションはクラウドPBXのベンダーやサードパーティーから提供され、音質を左右する一因となる。
スマートフォンとIP電話の仕組み
スマートフォンがPBXのIP電話端末として使われるようになったのは約10年前だ。当時の音質は良くなかった。現在は大きく改善されている。
音質が改善された主な要因は3つある。モバイルネットワークが3Gから4G(一部は5G)となり遅延が少なく広帯域になったこと、スマートフォンの性能が向上したこと、コーデック(codec)が進歩したことだ。ここでいうコーデックとは送話側ではアナログ音声をデジタル化し、受話側ではデジタル音声をアナログに復号するソフトウェアのことだ。
スマートフォンを用いたIP電話の音質はかつてより良くなったが、それでも注意すべき点がある。
スマートフォンを用いたIP電話の仕組みは図1の通りだ。この図はスマートフォン同士の内線通話を表しており、左のスマートフォンが送話、右が受話だ。実はコーデックや通話アプリケーションだけでなく、スマートフォン自体のハードウェアのスペックも音質に影響がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Zoom Phoneで「脱・PBX」はできるか?
脱・PBX(構内電話交換機)の流れは10年ほど前から続いている。音声クラウドサービスはそのための手段だ。新しい音声クラウドサービス「Zoom Phone」が日本でも2021年から使えるようになった。Zoom Phoneで「脱・PBX」はできるのだろうか? - 「Microsoft Teams+FMC」で、PCは電話を飲み込んでしまうのか?
携帯大手3社はMicrosoft TeamsとFMCを連携させたクラウド電話サービスに注力している。TeamsがあればPBXが不要になり、固定電話機がなくてもPCが電話機代わりになる。今後、PCは電話を飲み込んでしまうのだろうか? - 2022年の企業ネットワークは「プライベート5G」に注目!
2021年にソフトバンクとNTTドコモは5Gの最終形であるSA(Stand Alone)のサービスを開始した。2022年にはSAを生かしたプライベート5Gが始まる予定だ。今回は2022年の企業ネットワークを展望するとともに、プライベート5Gへの期待について述べる。