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勤怠管理に必要なのは「従業員の監視」ではない テレワークでも“兆候”を把握する方法アフターコロナの時代に求められる、データドリブンアプローチによる業務改革(3)(1/2 ページ)

長時間労働の是正で止まっている「働き方改革」をもう一歩進め、「業務変革」を実現する。その手法を紹介する本連載。第3回は実践編として「新しい働き方における、ワークログの活用方法」について解説する。

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 前回の記事(業務改善で役立つ、「ワークログ」にあって「業務報告書」にないもの)では、従業員が記入する「業務報告書」とワークログの違いについて説明しました。

 第3回となる本稿は「新しい働き方における、ワークログの活用方法」と題し、主に「SaaS」(Software as a Services)と「テレワークでの勤怠管理」に注目し、それぞれワークログをどのように活用できるかについて解説します。

テレワークの課題は「以前からあったものが顕在化しただけ」

 コロナ禍によって多くの企業がテレワークを採用しました。このテレワークの推進に大きく貢献したサービスがSaaSです。わざわざ自社にサーバを用意しなくても簡単に利用でき、使う分(使った分)だけコストが発生するという特徴があるため、特に規模の小さい企業で急激に利用が拡大したという印象を持っています。

 便利なSaaSですが、課題も生まれました。緊急措置的にテレワークを採用した企業の中には、SaaSの導入や利用に関するルールを整備しないまま使い始めた所もあります。MeeCapのお客さまでも「SaaSを採用したのはいいが、どのくらい使われているか分からなくて不安だ」「従業員が勝手に新しいSaaSを使っていないか心配だ」といった相談に来る方がいらっしゃいます。

 また、「SaaS利用状況の把握」と同じくらい問い合わせをいただくのが勤怠管理です。極端な例だと「2時間ごとに報告させる」「手元が動いているかどうかをカメラでチェックする」などの取り組みしているというお客さまもいました。ちゃんと働いているかどうかを監視的なアプローチをする企業がある一方で「仕事と私生活の境目が曖昧になるため、長時間労働が発生しやすいのではないか」と懸念する企業もあります。

 共通するのは「これまで見えていた(と思っている)従業員の動きがテレワークになり、見えにくくなった(と感じている)こと」です。ただ、この連載で触れているように「従業員の働いている様子」を眺めているだけでは本当の業務状況は分かりません。そういう意味では、テレワーク以前からあった課題がテレワークで顕在化しただけと言えます。

 ワークログで業務を可視化することでこの課題は解決できますが、オフィスにあるPCならともかく、従業員の自宅にあるPCのワークログをどうやって取得し、分析すればいいのでしょうか。

ワークログはテレワークでもオフィスでも基本は同じ

 ここで少しだけ「ワークログとは何か」をおさらいしましょう。“ログ”を直訳すると「記録」という意味になりますので、広義では「業務に関する記録」なら何でもワークログと言えます。その中でも業務を把握することに特に有効なのは「イベントログ」と「アクティビティーログ」(操作ログ)です。

 イベントログはバックエンドシステムやERP(Enterprise Resources Planning)などから抽出でき、各システムでどのような処理やプロセスが発生しているかを理解するのに役立ちます。ただ、ログのサイズが大きくなりがちで利用しようとしても事前にデータ整備をしなければならない点がデメリットと言えます。操作ログは、文字通りアクセスしたアプリケーション情報や画面名、マウスクリック、キー入力値などのPCで操作したさまざまな情報を確認できます。イベントログほど詳細な情報は取得できませんが、各個人の作業を分析するには最適です。

SaaS

 SaaSを例に考えてみます。SaaSのイベントログを取得するにはサービスを提供しているベンダーの支援が必要です。ただ、SaaSの中にはサービスの利用状況や使われ方などをレポートする仕組みを持つものがありますので、利用しているSaaSがレポート機能を持っているかどうかを確認してみましょう。イベントログそのものではありませんが、業務の分析に役立つはずです。

 操作ログはどうでしょうか。SaaSを1つのアプリケーションと捉えれば、PCの操作ログが使えそうです。レポート機能を持たないSaaSでも利用状況を把握できますし、テレワークでの勤怠管理にも利用可能です。ただ、従業員の自宅にあるPCから操作ログを取得しなければならないという課題があります。従業員ごとにログを集めるのは大変なので当社のサービスのようにクラウド経由でログを収集する仕組みを導入するのがいいでしょう。

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