欠落インデックスによる実行プランへの影響に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(119)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、欠落インデックスによる実行プランへの影響に関する情報を出力する方法について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_missing_index_group_stats」における、欠落インデックスによる実行プランへの影響に関する情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」です。
概要
SQL Serverでは、テーブルやビューにインデックスを作成することで、効率的にデータ検索やテーブル間の結合を実行できます。データ検索やテーブル間の結合に適したインデックスが作成されていない場合には、データ検索のためにテーブルのデータ全体を読み込む必要があり、クエリの実行は非効率なものとなります。
SQL Serverでは、クエリのコンパイル時に、クエリに適したインデックスが不足していること(欠落インデックス)を検出する機能があります。検出された欠落インデックスはSQL Server Management Studio(SSMS)でクエリの実行プランを表示して確認することや、動的管理ビューを使用して確認することが可能です。
「sys.dm_db_missing_index_group_stats」動的管理ビューを使用することで、検出された欠落インデックスが無いことによる実行プランコストなどへの影響に関する情報を出力できます。そのため、検出された欠落インデックスを作成した場合の効果などを分析するのに役立ちます。
なお、「sys.dm_db_missing_index_group_stats」動的管理ビューにおける欠落インデックスの区別には、欠落インデックスのグループIDが使用されます。欠落インデックスに含まれる列の情報を出力できる「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューなどでは、欠落インデックスの区別には、欠落インデックスのインデックスIDが使用されます。そのため、欠落インデックスの情報を詳細に確認したい場合には、2つのIDを関連付けるために、併せて「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューも出力しておく必要があります。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
group_handle | int | 欠落インデックスグループのID |
unique_compiles | bigint | この欠落インデックスによって影響を受けるコンパイルおよび再コンパイルの数 |
user_seeks | bigint | 欠落インデックスを使用できた場合にユーザークエリによって発生するシーク数 |
user_scans | bigint | 欠落インデックスを使用できた場合にユーザークエリによって発生するスキャン数 |
last_user_seek | datetime | 欠落インデックスを使用できた場合にユーザークエリによって発生した前回のシーク日時 |
last_user_scan | datetime | 欠落インデックスを使用できた場合にユーザークエリによって発生した前回のスキャン日時 |
avg_total_user_cost | float | 欠落インデックスを作成することで削減できるユーザークエリの平均コスト |
avg_user_impact | float | この欠落インデックスが実装された場合に減少するユーザークエリのコストの平均パーセンテージ(%) |
system_seeks | bigint | 欠落インデックスを使用できた場合にシステムクエリ(Auto Statsクエリなど)によって発生するシーク数 |
system_scans | bigint | 欠落インデックスを使用できた場合にシステムクエリによって発生するスキャン数 |
last_system_seek | datetime | 欠落インデックスを使用できた場合にシステムクエリによって発生した前回のシーク日時 |
last_system_scan | datetime | 欠落インデックスを使用できた場合にシステムクエリによって発生した前回のスキャン日時 |
avg_total_system_cost | float | 欠落インデックスを作成することで削減できるシステムクエリの平均コスト |
avg_system_impact | float | この欠落インデックスが実装された場合に減少するシステムクエリのコストの平均パーセンテージ(%) |
動作例
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