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欠落インデックスの列の情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(118)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、欠落インデックスの列の情報を出力する方法について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_db_missing_index_details」における、欠落インデックスの列の情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)、「Azure SQL Database」です。

概要

 SQL Serverでは、テーブルやビューにインデックスを作成することで、効率的にデータ検索やテーブル間の結合を実行できます。データ検索やテーブル間の結合に適したインデックスが作成されていない場合には、データ検索のためにテーブルのデータ全体を読み込む必要があり、クエリの実行は非効率なものとなります。

 SQL Serverでは、クエリのコンパイル時に、クエリに適したインデックスが不足していること(欠落インデックス)を検出する機能があります。検出された欠落インデックスはSQL Server Management Studio(SSMS)でクエリの実行プランを表示して確認することや、動的管理ビューを使用して確認することが可能です。

 「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューを使用することで、検出された欠落インデックスの列の情報を出力できます。そのため、どのような列を含むインデックスを作成すればよいかの判断が可能となります。

 なお、「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューにおける欠落インデックスの区別には、欠落インデックスのインデックスIDが使用されます。欠落インデックスによる実行プランコストへの影響などの情報を出力できる「sys.dm_db_missing_index_group_stats」動的管理ビューなどでは、欠落インデックスの区別には、欠落インデックスのグループIDが使用されます。そのため、欠落インデックスの情報を詳細に確認したい場合には、2つのIDを関連付けるために、併せて「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューも出力しておく必要があります。

出力内容

列名 データ型 説明
index_handle int 欠落インデックスのインデックスID
database_id smallint 欠落インデックスが検出されたテーブルがあるデータベースID
object_id int 欠落インデックスが検出されたテーブルのオブジェクトID
equality_columns nvarchar(4000) 列のコンマ区切りの一覧。次の形式で等値述語に使用できる
表名.列名 = constant_value
inequality_columns nvarchar(4000) 列のコンマ区切りの一覧。次の形式で不等値述語に使用できる
表名.列名 > constant_value
なお「=」以外の比較演算子を使うと、全て不等値を表すことになる
included_columns nvarchar(4000) クエリの包括列として必要な列のコンマ区切りの一覧
statement nvarchar(4000) インデックスが欠落しているテーブルの名前

動作例

 動作確認用のテーブルを作成し、SELECTクエリを実行しました。このテーブルにはインデックスを作成していないため、SSMSで実行プランを表示すると「不足しているインデックス」(欠落インデックス)が表示されました(図1)。

図1
図1 SSMSで欠落インデックスが表示されたところ

 次に、「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューを出力します。SELECTクエリにより欠落インデックスが検出されたため、結果が1行表示されました(図2)。

図2
図2 欠落インデックスの情報が出力された

 「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューには、欠落インデックスの列の情報が含まれるため、この動的管理ビューの出力により必要なインデックスの定義は判断できますが、実行プランへの影響に関する情報や検出された元のクエリの情報は含まれていません。

 「sys.dm_db_missing_index_details」動的管理ビューに、欠落インデックスが検出された実行プランへの影響とクエリハンドルを出力できる「sys.dm_db_missing_index_group_stats_query」動的管理ビュー、クエリハンドルからクエリテキストを取得できる「sys.dm_exec_sql_text」動的管理関数、欠落インデックスのインデックスIDとグループIDの対応付けのための「sys.dm_db_missing_index_groups」動的管理ビューを組み合わせることで、欠落インデックスの列情報と実行プランやクエリテキスト、クエリコストへの影響などを対応付けて確認できます(図3)。

図3
図3 欠落インデックスの列情報と実行プランへの影響、クエリテキストを組み合わせて出力したところ

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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