国内10兆円まで拡大するクラウド市場、急成長の理由を探る:2021〜2026年の年間平均成長率を21.1%と予測
IDC Japanは、国内クラウド市場の予測を発表した。2021年の市場規模は、対前年比34.7%増の4兆2018億円。2021〜2026年の年間平均成長率は21.1%で、2026年の市場規模は10兆円を超える見込みだ。
IDC Japanは2022年6月14日、国内クラウド市場の予測を発表した。2021年の市場規模は対前年比34.7%増の4兆2018億円、2021〜2026年の年間平均成長率(CAGR)を21.1%と見込んでおり、2026年の市場規模は10兆9381億円と予測している。
DXとデータ駆動型ビジネスが鍵、ただ注意点も
IDC Japanによるとコロナ禍の影響で成長がやや鈍化していた国内クラウド市場は大きく回復したという。2021年の成長をけん引したのはパブリッククラウドで「2021年5月時点の想定を大きく上回る成長をした」とIDC Japanは述べている。
「クラウドを優先的に検討するクラウドファースト戦略が企業に浸透したことや従来型ITからクラウドへの移行に関わるプロジェクト期間の短縮、要員数の増加やオファリングの拡充サービスといったベンダーの対応強化が要因になっている」(IDC Japan)
IDC Japanは国内市場の特徴として「DX(デジタルトランスフォーメーション)とデータ駆動型ビジネスに対する国内企業の関心の高さ」を挙げている。事実として2021年はDXとデータ駆動型ビジネスに対する投資が大幅に増加し、市場規模は1兆円を超えている。こうした動きは今後も続くとIDC Japanはみており、「DXとデータ駆動型ビジネスが今後の国内クラウド市場をけん引する」としている。
ただ注意点がある。DXやデータ駆動型ビジネスは企業ごとに取り組み方が異なるため、「機能ごとにモジュラー化された製品やサービスを組み合わせてシステムを構築するアプローチが重要になる」とIDC Japanは指摘している。このアプローチは複雑になりやすく、企業にはアーキテクチャへの深い理解や製品、サービスの目利き、高度な技術スキルが求められる。そのためIDC Japanは「ベンダーはエコシステムを強化し、企業にとってクラウド活用の簡素化を図ることが重要になる」としている。
IDC Japanの松本 聡氏(ITサービス リサーチディレクター)は、「最近はDX/データ駆動型ビジネスに向けてシステムやアプリケーションを内製化することがユーザー企業の重要な関心事になっている。ベンダーはエコシステムを強化してシンプル化とともに、ユースケースや産業ソリューションと関連付けて内製化支援をオファリングとして整備することが重要だ」と述べている。
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