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僕がフリーランサーを続けるのは、35歳定年説を受け入れたくないからGo AbekawaのGo Global!〜Hugh Chiou(後)(2/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回もフリーランスエンジニアのHugh Chiou(ヒュウ・チョウ)さんにご登場いただく。ヒュウさんに「一生プログラミングする」と決意させた、他の仕事にはない魅力とは何か。

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台湾のテレワーク事情

阿部川 奥さまはお仕事をされているのですか。

ヒュウさん はい。毎日バイクで通勤しています。

阿部川 では、奥さまが仕事に行っている間は、ヒョウさんは集中し放題ですね(笑)。

ヒュウさん そうですね(笑)。以前は1つの部屋にこもって仕事をしていたのですが、妻がいない時間はリビングも使い放題です。

阿部川 それは結構大切な話だと思います。コロナ禍でみんなが自宅で仕事をするようになって、PCを置く場所はどうすればいいかとか、ネットが重いのをどうすればいいのかとか小さなトラブルが頻発しています。特に日本は家が狭いから、「リビングで3人並んで仕事」とか難しいですからね。

ヒュウさん 僕の家は幸い使っていない部屋があったので良かったです。でもオンライン会議をしているときは隣に妻がいたら不自由です。お互いに邪魔をしちゃって。うちは猫を1匹飼っているので(阿部川:いきなりキーボードの上に乗ってきたり)。そう、そう。(阿部:あと宅配が届いたり)あー、それもありますよ。

阿部川 ヒュウさんのお宅には余剰の部屋もあったということですが、台北の住宅はみな広いのでしょうか。プログラミングをやっている人は自宅で働くことが多いと思うので、皆さん満足されているのか気になりました。

ヒュウさん 日本よりはだいたい大きいですね。少なくとも1.3倍ぐらいはあるかな。でも今まで、いや今でも台湾でテレワークする企業はそれほど多くありません。政府が「家で仕事して」とアドバイスしたのはたった2カ月間ぐらいです。

阿部川 皆さん、普通に通勤して仕事をしているということですか。

ヒュウさん はい、電車も普通に乗っています。

阿部川 それは、どうしてでしょう? あまり気にならない?

ヒュウさん 政府の対応方針が最近「コロナと一緒に長く付き合う」に変わったんです。2021年までは全部ゼロにならないと安心できなかったのですが、2022年にはそれは難しいと理解したのでしょう。2021年は100人超えた段階でロックダウンしていたんですが、今は「重症にならなければ大丈夫です」という考えです。もちろんワクチンはみんな接種しています。

阿部川 共存しようという方向に行っているのですね。

日本のエンジニア、コメント書き込み過ぎ問題

阿部川 10年後もプログラマーをやっていたいのですよね。10年というか一生ですかね。

ヒュウさん その通りです。16歳からアルバイトをはじめて、いろいろな仕事を経験しましたが、どんな仕事でもある特定の時間がたつと変化がなくなります。でもプログラミングは次々と新しいチャレンジが生まれます。そういった点が自分に向いていると感じます。

阿部川 技術は進歩し続けていますし、特にこの業界では新しいことがどんどん毎日起こりますね。変化を楽しめる人には絶対楽しい仕事だと思います。

ヒュウさん とても魅力的。面白いことです。

阿部川 日本のエンジニアと仕事をすることもあるかと思いますが、何か特徴というか気になったことはありますか。

ヒュウさん 小さなことですけれど、日本人のプログラマーはコメントを追加しがちですね。そうしなければ安心できないのだと思います。でも僕の考えではコメントこそがソースコードで1番信じられないものです。コメントを読んでも理解できることはわずかですし、例えばコメントを書いたエンジニアの理解がもし間違っていたら、そこから全部間違え続けることになります。また、ソースコードを修正した後で、その内容に合わせてコメントを変える人は少ないです。コードは変わったけれどコメントはそのままだと誤解が生まれます。実際にコメントで“間違えた方向”に導かれることがよくあります。だから今はコメントを見掛けたら、まずそれを疑うことから始めています。


編集中村
編集 中村

 耳が痛い話題です。私が以前エンジニアだったときは「できるだけコメントは丁寧に」と考え、どちらかといえば長めのコメントを書いていました。ただ、「解釈が間違っていたらどうするか」「修正が入った場合にコメントはどうなるのか」といった観点はありませんでした。当時、「ソースコードを見れば分かるのでコメントは不要」と言う人がいてよく反発していたのですが、ヒュウさんの観点で言うと、なるほどそういう考え方もあるのだと何年か越しに納得しました。


ヒュウさん 後は「課題を解決するスタイル」です。台湾はどちらかといえば欧米のスタイルに近くて、課題を解決する場合はみんなで相談して考えることが多いです。何かあったら隣のエンジニア(の肩)をトントンして「これはどうしたらいいと思う?」といった感じで。ただ、日本のエンジニアは僕から見える範囲ではそういう行動が少ないと思います。相談するにしてもチームリーダーやプロジェクトマネジャーが相手ですよね。

阿部川 日本でそれをやると邪魔だと思われてしまったり、そんな相談をしたら「できないと思われる」と考えてしまったりするのかもしれませんね。

ヒュウさん なるほど。でも、できるかどうかを自分だけで判断するのは逆におかしくないですか? やったことがないことは誰にでもあるし。

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新婚旅行中のヒュウさん

阿部川 おっしゃる通りだと思います。チームで助け合うことは大切ですよね。他にも何かエンジニアに向けてアドバイスはありますか。

ヒュウさん もっと将来の自分に投資しよう、かな。僕は今まで勉強にとても時間をかけました。投資とは時間かお金です。その両方とも自分はとてもかけました。それはたぶん将来に一番役立つと思います。

阿部川 大学で勉強してきたことが生きていると。

ヒュウさん 大学では時間を無駄遣いしたと考えています。だから、それから時間を大切に使わないといけないと自制しています。もし若いときから自分に投資していたら、と思うことはあります。それに「自分を理解すること」も自分への投資の一つと言えますよね。

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