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「バリューストリームマップ」を作成し、家事の課題を特定する:子どもたちを学校に送り出す=デプロイ(1/2 ページ)
4人家族の家事育児をワンオペで担うことになったエンジニアリングマネジャーの陽太郎さんは、家事代行サービスを利用したいのですがどのサービスを使えばいいのか決めきれません。そこで家事のワークフローとバリューストリームマップを作成し、サポートが必要なタスクを見極めていきます。
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こんにちは、リクルートでエンジニアリングマネジャーをしている高橋陽太郎です。
エンジニアリングの知識と経験を総動員してワンオペ家事&育児をカイゼンしていく連載「家事場のシスぢから」。前回は家事代行サービスを選ぶ中で、まずは自分の困りごとを正しく分析するためにワークフロー全体を見直しました。
今回はワークフローを分析して困りごとを設定し、その困りごとを解消してくれる外部サービスを明らかにしていきます。
家事とワークフロー
ワークフローを作成する
前回、記事の最後にワークフローを掲載しました。ワークフローによる分析はソフトウェア開発でもメジャーな方法論で、例えば『達人プログラマー』(※1)にも記載があります(※2)。本連載の執筆に当たって達人プログラマーを読み直したら、「ピニャコラーダを作るロボット向けのソフトウェア」という料理にまつわる話題が扱われていました。やはり料理とエンジニアリングは類似性が高いのかもしれませんね。
さて私の分析では、並行性を上げて作業ができるものをあぶり出し、工夫できる点はないか、逆に工夫しようがない困りごとは何なのかを、全体を俯瞰(ふかん)する中で見つける目的でワークフロー図を作成しました。
ポイントとして下記の点を意識しています。
- 基本的には時系列順に1日に起きるイベントをまとめる(左→右に時間が流れる)
- このイベントを終了しないとこのイベントができない、という依存関係があるものを矢印でつなぐ
- 見やすさのために気になる点を赤字にする
書き出したワークフローを分析する
ワークフローを書き出してみると、幾つもの気付きを得られました。例えば下記です。
時間的デッドラインがある
- 強い時間制約として、子どもの登校時間(遅刻はさせたくない)、就寝時間(決まった時間に寝かせたいし、遅くして翌日の起床に影響を与えてはならない)
時間的デッドラインを踏まえ、並行作業できるものを並行する
- 例えば、朝ごはんを食べさせている間に親ができる学校の支度をする、子どもの夕食を作ったらすぐお風呂の準備をするとか、逆にお風呂を沸かしている間にご飯を作るとか
その上で、時間的に厳しいものがある
- 朝食準備はやはり厳しい(既に実証済み)
- 夕食準備も同様に時間的制約が強く難しいことが予見される
もう少し俯瞰してみると
- 並行作業できるポイントは分かったが、恐らく1日の稼働がカツカツになる。このワークフロー上に書かれていない必ずしも日次ではないタスク、つまり買い物、掃除などのタスクを考えると恐らく回らなくなる。特に台所やトイレなどの水回りは、雑菌の繁殖など衛生上大きな課題となるリスクをはらんでいる
※2 Tip 56 並行性を向上させるためにワークフローを分析する
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