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「Agile 2018」のテーマから、家事代行サービス選びの失敗に気付く何ができるかよりも、どんな価値が欲しいのか(1/2 ページ)

4人家族の家事育児をワンオペで担うことになったエンジニアリングマネジャーの陽太郎さんは、家事のアウトソースとして家事代行サービスの活用を検討します。サービス比較で苦戦する陽太郎さんが思い出したのは、以前参加したAgileカンファレンスのテーマ「Output to Outcome」でした。

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 こんにちは、リクルートでエンジニアリングマネジャーをしている高橋陽太郎です。

 エンジニアリングの知識と経験を総動員してワンオペ家事&育児をカイゼンしていく連載「家事場のシスぢから」。前回はプロトタイピングを利用して自分の現在位置を計測し、その上で「自分1人で運用を仕切るのは恐らく不可能(月曜日は朝5時には起きないと、子どもをオンスケで登校させられない)」と現状認識できました。今回はこの課題に向き合います。

重大な変更があったら全体のバランスを見直す

 この状況って何か見覚えがある気がして手元のアジャイルサムライを読んでみると、そのものずばりの内容が書いてありました(※1)。

かけがえのないチームメンバーを失ってしまったとき、その影響を測ることは一筋縄じゃいかない。チームにとって大きな打撃となることは分かりきっている。だけど、どれぐらいの打撃なんだろうか?

チームメンバーの変更にまつわる期待マネジメントでは、あまり科学的になる必要はない。お客さんには、プロジェクトが打撃を受けることはあきらかだと伝えればそれでいい(もし可能なら、ベロシティーへのインパクトを推測しよう)(中略)ベロシティーは下がる前提でプロジェクトへの期待をマネジメントしよう。


 ここで家庭をプロジェクトに見立てると、このプロジェクト全体のバランスを取る必要があることに気が付きます。

 開発プロジェクトでは、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期。場合によってはScope:範囲も混ぜてQCDS)で全体のバランスを取ることが多くあります。アジャイルサムライではこれら「時間、予算、品質、スコープ」を指して「荒ぶる四天王」と呼んでいましたね。


アジャイルサムライ記載のトレードオフスライダー

 これらの思考フレームワークを当てはめることで、今回の課題にも調整弁が見つからないでしょうか。

 試してみましょう。

 なお、プロジェクトでもQCDバランスをプロジェクト計画書などに盛り込むことがありますが、トレードオフスライダーや単純なQCDSというバランスだけだと、文字通りバランスを取る表現が難しく、ニュアンスが必要になります。そこで文章化します。

優先度 コメント
Quality 健康な状態を維持することがマスト。体調が悪ければ無理させないし、料理などでの食中毒もNG。長期的に体調が悪化するようなバランスの取れていない食事も基本的には避ける。

また、学校に行くに際してマストなもの、特に水筒や制服などは必ず持たせる(宿題やその他の忘れ物がないことも本当なら目指したいがそこはベストエフォート)
Delivery 遅刻は基本的にはできない(短期的にやむを得ない日はあるかもしれないが、連続しての遅刻などは絶対に避ける)
Cost 家計を圧迫するレベルのコストは許容できない

 この状況においてバランスを見ると、恐らく「Cost」の部分が唯一の調整弁になることが分かります。留学に際して妻の会社からお手当が出ることも分かり、それに乗じる形でCostの制約を緩めることによって対応することにします。

 Costというと、リソースのアウトソースがソフトウェア開発ではよく行われている手法です。では、家事の世界でアウトソースはできるのでしょうか。

 ここで、連載第2回で周りに相談したときに、「家事代行」というアイデアを授かったことを思い出しました。家事代行に家事をアウトソースできるのでは?

 というわけで、家事代行のリサーチを開始します。


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