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大学進学する子どものために購入した2in1ノートPCで発生した「タブレットモード」のトラブルとは山市良のうぃんどうず日記(248)

第1志望の大学に合格した2番目の子どものために、2022年11月中旬にノートPCを購入しました。入学は2023年春なので少し気が早いようですが、為替レートの変動や物価高の先行きが見えない中、1カ月以上、価格の推移やキャンペーンの推移を観察して、コスパの良い1台を決定、購入しました。すぐにでも利用できるように、筆者なりに完璧にセットアップしようと思います。

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山市良のうぃんどうず日記

スペックや機能性を考慮し、デルの2in1ノートPCに決定

 筆者にとっては他県の大学に進学する2人目の子どもです。1人目は2022年に社会人になりました。1人目のときの話は、本連載第167回をご覧ください。

 今どきの大学生は、学部に関係なくPCが必需品のようです。コロナ禍になってからは、リモート授業のためにも必要ですし、そのためのデバイス(カメラやヘッドセット)も必要です。授業に持ち歩くにはデスクトップではなく、ノートPC(またはタブレット)である必要があり、荷物にならないようにディスプレイは14インチ以下で、なるべく軽量なものがよいと考えました。

 筆者が利用しているサーバやPCは、全てデル・テクノロジーズ(以下、デル)で統一しています。いつも比較検討してみるのですが、コスパが良いと感じていますし、長年利用していると、オンライン注文にも慣れ、即納品モデルを選べばすぐに手に入ることや、保守やサポートについても詳しくなりました。「デル・アウトレット/デル・エクスプレス」をいつもチェックしていれば、目的の製品をさらに安く手に入れることもできます。

 今回は色気(?)を出して、「タブレットモード」も利用でき、アクティブペンが付属する「Dell Inspiron 14 7420 2-in-1」にしました。価格の推移を観察中に数日間だけ最大35%オフキャンペーンがありましたが、その後は22%オフや25%オフが繰り返されている感じで、35%オフキャンペーンがあったことを知っている筆者にとってはなかなか手が出ません。そんなとき、デル・エクスプレスに35%オフ相当の価格で複数台登場したので、売れてしまう前に即購入しました。その日のうちに支払いを済ませ、その3日後には納品されました。デルの即納品モデルやデル・アウトレット/デル・エクスプレスは、このスピード感が魅力的です。

遠隔地に住む学生用にPCをセットアップ、リモート対応ツールは必須

 納品早々、電源を入れ、初回起動時に「Windows 11」のセットアップを完了します。Windows 11 バージョン21H2がプリインストールされていましたが、Windows Updateを実行すると、Windows 11 バージョン21H2の品質更新プログラムや各種デバイスドライバと並行して、すぐにWindows 11 バージョン22H2の機能更新プログラムのダウンロードとインストールが始まりました(画面1)。Windows 11 バージョン22H2に更新後、デルのユーティリティー(Dell UpdateやSupportAssist)を使用して、デル製ドライバやファームウェアを最新状態に更新します。この辺りは、PC初心者には難しいというか、気が付かないだろうと思います(写真1)。

画面1
画面1 プリインストールOSはWindows 11 バージョン21H2だが、すぐにWindows 11 バージョン22H2のダウンロードとインストールが始まった
写真1
写真1 Windows 11を最新状態にした後、デルのユーティリティーでドライバやファームウェアをアップデート

 筆者は、新しいWindows PCをセットアップしたとき、初回サインイン後に必ず行うことがあります。それは、フォルダオプションの設定変更と以前のバージョンのIMEへの切り替えです(画面2)。

画面2
画面2 筆者が初回サインイン後に必ず行う設定変更

 Windowsでは、ファイル名の拡張子によって、ファイルの種類やアプリとの関連付けが行われます。「MS-DOS」や「Windows 3.1」のころ、ファイル名は8.3形式に縛られていましたが、「Windows 95」以降、ファイル名の自由度が増しました。しかし、OSや多くのアプリが、依然としてファイルの拡張子を使用します。Windowsは、昔から「フォルダーオプション」の既定の設定で「登録されている拡張子は表示しない」がオンになっています。拡張子が非表示になっていると、ファイルアイコンを見てドキュメント(ファイル名.docx)だと思ってダブルクリックしたら、悪意のある実行ファイルだった(ファイル名.exe)なんてことがあるかもしれません。なので、拡張子は必ず表示するようにしています。

 「Windows 10」のバージョン2004から導入された新しい「Microsoft IME」は、たびたび問題が報告され、品質更新プログラムの既知の問題にリストアップされます。登場してもう2年以上たってもこの状況なので、筆者は新しいMicrosoft IMEを全く信頼していません。すぐに「以前のバージョンのIMEを使う」に切り替えています。

 後は、次のような作業をして、最後にフルバックアップを作成して終了です。更新用バッチファイルとリモート対応環境については、本連載第167回をご覧ください。

  • PIN(Personal Identification Number)と指紋認証のセットアップ(本人の指で)
  • 「Microsoft Authenticator」のセットアップ(本人のスマートフォンに)
  • 「スマートフォン連携」アプリのセットアップ(本人のスマートフォンと)
  • プリインストールのマルウェア対策ソフトの入れ替え(複数デバイス対応のライセンスを持っている「ESET NOD32アンチウイルス」に)
  • 「Microsoft Office Professional 2021」のインストール(後日、大学側が提供してくれるはずのEducationサブスクリプションライセンスに切り替える予定)
  • WindowsとOfficeアプリの月次更新用バッチファイルの作成
  • 万が一のときのリモート対応用「RealVNC Server」のインストールと「Cloud connectivity」のセットアップ
  • フルバクアップ(システムイメージ)の作成

 半日ほどでセットアップは完了したのですが、実は、全て作業を完了するまでに丸3週間かかりました。その理由は……。

2日目に故障? 常時タブレットモードでキーボードとタッチバッドが使えない!

 納品されたのは夕方で、Windows 11 バージョン22H2のインストールとファームウェアのアップデートが終わった時点でいったん終了。翌日、電源をオンにすると、タブレットモード形態(画面を225度以上開く)にしていないにもかかわらず、キーボードとタッチバッドが反応しないという状態になりました。

 USBキーボードとマウスを接続して作業を継続しながら、通常モードに復帰する方法をいろいろと試してみたのですが、全く改善しません。強制的にタブレットモードをオフにできないかと考えましたが、Windows 10にはあったタブレットモードのオン/オフ機能は、Windows 11で廃止されたことをこのときに知ることになりました(センサーによる自動切り替えに変更)。

 そこで、デルのサポートに連絡し(最近は電話だけでなく、LINEやFacebookでも対応してもらえます)、半日ほどやりとりしながら、回復を試みました。工場出荷状態に戻すことまでしました(もちろん、フルバックアップしてから)。結局、工場に引き取り修理対応(新規購入なので1年間は無料対応)ということになりました(画面3)。

画面3
画面3 サポートの電話窓口はほとんどつながらない状態でも、SNSを利用したやりとりはスムーズ。文字に残るので、電話よりも分かりやすい

 後は、翌日、サポートが手配してくれた運送業者に本体だけを裸の状態で手渡すだけです。通常は、「BitLockerドライブ暗号化」の回復キーやログオンパスワードを伝える必要があるようですが、工場出荷状態に戻した状態のままでしたので、それは不要でした。他のメーカーのサポートを利用したことがないので比べられませんが、引き取り修理の進行状況がWebで追跡できるのは安心感がありました(画面4)。

画面4
画面4 修理の進行状況はWebで追跡可能

 修理には1〜2週間かかるといわれましたが、手渡してからちょうど1週間で戻ってきました。OSの再インストールだけで回復したそうで、原因は特定できたわけではないようです(この時点でなんか怪しい予感)。初期化前に取得したフルバックアップはありますが、半日程度でセットアップできるので、セットアップし直して、2日ほど様子を見ましたが問題はないようでした。フルバックアップを作成して、ひとまずセットアップは完了です。

 このPCは少なくとも4年間動いてもらわなければならないので、念のため追加で3年の保守サービスを契約しました。また、いざというときのための持ち運びが手軽なサイズ感のUSBキーボードも入手。これで、子どもに渡す準備は万端です。

画面5
画面5 全てセットアップし直してフルバックアップを作成

 といいたいところだったのですが、キーボードを認識しなくなる症状は、その翌日にまた発生しました。そして、(前回実施した回復手段は全て一通り終えた上で)またサポートとのやりやりを繰り返し、もう一度、病院(工場)送りが決定しました。ところで、Windows 11におけるタブレットモードの廃止は、デルに限らず、多くの2-in-1デバイスを持つユーザーをイラつかせているようです。先に知っていれば、2-in-1モデルは選ばなかったかもしれません。

 フォーラムでのやりやりを見ると、Windows 10の「タブレットモード」ボタンが救いになりそうに思えました。Hyper-V仮想マシンに物理USB外付けディスク(HDDまたはSDD)を割り当てて、Windows 10 Enterprise バージョン22H2評価版をインストールし(画面6)、そのUSB外付けディスクから問題のWindows 11デバイスを起動してみました(「Windows To Go」のようですが、Windows To Goは既に廃止されています)。

画面6
画面6 物理USBディスクにWindows 10 Enterprise評価版(バージョン22H2)をインストール

 Windows Update経由でドライバのインストールを終えると、「タブレットモード」ボタンでオン/オフを切り替えることはできるようになりました。しかし、「タブレットモード」ボタンでオフにしてみてもキーボードが使えない状態は変わりませんでした(写真2)。工場送りを待つ間に試したことですが、無駄だったようです。

写真2
写真2 「タブレットモード」ボタンが利用できるようになったが、だからといって状況の改善には役立たなかった

 2回目の修理は、関連しそうなユニットの交換に10日かかり、2022年11月末にようやく手元に戻りました。戻ってきてから1カ月以上経過しますが、今のところ問題は一度も再現していません。その後、確認した入学案内関連の文書に推奨スペック16GB(他の学部は8GBなのに!)となっていたので、4000円ほどの8GBメモリを物色して購入し、インストール。念のため「Windowsメモリ診断」を実行して問題がないことを確認。これで本当に手渡す準備は万端です。既に、入学前のオンライン実施の課題で活躍しています。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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