越境学習者は2度死ぬ? 社外の学びを社内に浸透させるには:仕事が「つまんない」ままでいいの?(98)(2/3 ページ)
勉強会やセミナーなど、社外での学びを社内で共有したときに、熱量の差に愕然(がくぜん)としたことはありませんか?
越境学習者は2度死ぬ
少し話は変わりますが、近年、人材育成かいわいで「越境学習」という言葉が注目を集めています。越境学習とは、字のごとく「境」を「越」えて「学習」することです。
具体的には、社内などの所属している環境(ホーム)を越えて、異なる環境(アウェー)に足を踏み入れること。そして、ホームとアウェーを行ったり来たりする中で、いままでの環境の中では学ぶことができなかった学びを得ることです。
あなたにもきっと経験があると思いますが、社外の人と会話をすると、「え? 他社ではそんな取り組みをやっているんだ!」とか、「他の業界では、こんな仕事のやり方なんだ!」のように、社内にいるときには得られなかった気付きや発見に出会うことがあると思います。
このように、普段とは異なる価値観に触れることで「価値観の揺らぎ」が起こる。そこに、気付きや発見、学びがある。それが、越境学習です。社外の勉強会やセミナーに出て新たな情報を得ることも、越境学習の一つと言えます。
越境学習の第一人者である法政大学教授 石山恒貴さんは、著書『越境学習入門』(日本能率協会マネジメントセンター)で次のように言っています。
越境学習者は2度死ぬ
「越境学習者は2度死ぬ」とは、「越境学習者は2度の葛藤を通して学ぶ」という意味です。
1つ目の葛藤は、社内にいるときは当たり前過ぎて気付かなかった「自社の常識が社外に通じない」という葛藤です。
例えば、IT業界では日常的に使う言葉が業界以外の人には全く伝わらなかったり、会社が違うと仕事のやり方が全然違ったりすること、よくありますよね。
2つ目の葛藤は、社外で得た学びを社内に取り入れようとするときに生じる葛藤です。
社外に出て、新たなことを学ぶようになると、「○○を□□にしたら、もっと良くなるんじゃないか」とか、「何でうちの社内は○○なんだろう?」のように、社内の景色がいままでと異なって見えることがあります。そこで、社外の学びを社内に適用しようと思うわけですが、社内では社外の熱量や学んだスキルが理解されず、浮いた感じになるなど、さまざまな葛藤が起きます。
越境学習による葛藤は学びのプロセスであり、必ずしも悪いわけではありません。でも、できればこの葛藤は小さい方がいいですよね。せっかくの学びをうまく適用できるといいな、と思います。
そこでここからは、社外での学びを、2度死ななくてもいいように(笑)社内に適用するために必要なことをお話ししたいと思います。
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