越境学習者は2度死ぬ? 社外の学びを社内に浸透させるには:仕事が「つまんない」ままでいいの?(98)(1/3 ページ)
勉強会やセミナーなど、社外での学びを社内で共有したときに、熱量の差に愕然(がくぜん)としたことはありませんか?
あなたは、社外の勉強会やセミナーに参加するのが好きですか? 勉強会やセミナーに参加すると、新たな出会いが生まれたり社内では得られない情報が得られたりして楽しいですよね。社内にはいないような熱量がある人や経験が豊富な人がいたりもします。「なるほど! 他社ではこんなやり方をしているのか!」と価値観が揺さぶられたり、「○○さんといると、刺激になるなぁ」など成長を感じたりすることもあります。
一方で、その学びや熱量を社内で共有したときに、「○○さん、また何かやってるらしいよ」としらけた目で見られたり、孤独感や疎外感を抱いたり。自分は熱くなっているのに、社内で一人浮いている。「何でこの人たちは成長しようとしないんだろう?」なんて、批判的な気持ちが生まれたこともあるかもしれません。
そして、批判的な気持ちをSNSに書き込んだら、その内容を社内の人に見られてますます居心地が悪くなっちゃったりして。成長しようとする人ほど、そういった孤独感や疎外感を味わうことが多いのではないかなぁと思います。そして、その気持ちをどうにかしようと、また社外の勉強会やセミナーに足を運んでしまうのですよね。その結果、社内でますます浮いてしまって……。
でも、本当は「社外で得た学びを社内でも生かせたらいいのに」「もっといい会社にしたいのに」という気持ちは、誰よりも持っていると思うのです。
社外で得た知見や学びを社内に浸透させるには、どうすればいいのでしょうか? 孤独感や疎外感を抱くことなく、その熱量を伝えていくにはどうすればいいのでしょうか?
「何で、この良さが分かんねぇんだよ」
社内で孤独感を抱いた経験、ボクにもあります。大きく分けると2回です。1回目は「ITコーディネータ」という資格を取ったとき、2回目はコミュニケーションの勉強をしたときです。
ITコーディネータは、経済産業省推進のITコンサルタント資格です。経営の中にどうITを導入し、生かすのか。経営課題の分析手法から、ITの導入、運用といった内容まで、IT経営の一連の作法を、資格を取ることで学べます。また、セミナーにはいろいろな企業の方が参加されるため、社内にいるだけでは得られない出会いや刺激が得られます。
新たなことを学ぶと、社内で実践したくなるじゃないですか。そこでボクも、学んだことを社内で取り入れようと、「じゃあ、○○分析をやりましょう!」と提案してみたり、資料の中に分析した内容を織り込んだりしました。
ただ、上司や周囲からの反応は薄くて「は?」「何それ?」みたいな感じ。理解してもらおうと思って熱く語れば語るほど、逆に引かれたりして。その結果、「竹内さんは、手法に頼り過ぎ」と言われる始末。ボクは学んだことを生かせずにしゅんとしてしまいました。「何で、この良さが分かんねぇんだよ」と(笑)。
「以前の竹内さんの方が良かった」
もう1つは、管理職時代にコミュニケーションを勉強したときです。
管理職になったとき、チームをうまくまとめられなくて、いろいろな本やインターネットで調べた結果、「どうやら、コミュニケーションを勉強した方がいいらしい」ことに気が付きました。
そこでコーチングや心理学を勉強し、こちらも、学んだことを実践したくなったのです。ただ、急に接し方を変えたり、聞きなれない言葉や横文字を使ったりしたものだから、周囲が引いてしまって。
学んでいるボクとしては、「このやり方が最善なんだ!」って力が入っているものだから、ますます理解されなくて。その結果、「そういう接し方は嫌だ」「竹内さんは変わってしまった。以前の竹内さんの方が良かった」と言われました(苦笑)。
これはあくまでもボクの経験ですが、社内から飛び出して「もっと学びたい」と思っていたり、社外で学んだことを生かして「会社を変えていきたい」と思ったりしている人ほど、こういった失敗や孤独感、疎外感を抱きがちではないかと思います。
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