Azure西日本リージョンが大幅に拡充、活用シナリオが広がると同時にMicrosoftクラウド全体も強固に:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(190)
Microsoftは2023年2月末から西日本リージョンで新たに複数のデータセンターを稼働開始し、Azureのサービス提供を開始しました。新たに稼働を開始したデータセンターは、既存のデータセンターと併せて、Azureの可用性ゾーンの要件を満たしたものになっており、近い将来、西日本リージョン内での可用性ゾーン機能に対応する予定です。
これまでの西日本リージョンは提供サービスが限られ、可用性ゾーンに非対応
Microsoftは2014年2月から、当時としては他のクラウドベンダーに先駆けて、日本国内において「東日本」「西日本」のペアリージョン構成でMicrosoft Azureのサービスを提供しています。
東日本、西日本リージョンのどちらも主要なサービスを提供していますが、これまではより多くのサービスが東日本リージョンでサポートされ、西日本リージョンでは利用できないサービスやAzure仮想マシンシリーズが存在しました。
例えば、東日本に主軸を置く多くの企業は、東日本リージョンのサービスをメインで利用し、西日本の拠点のために西日本リージョンのサービスを利用したり(利用可能な場合)、災害対策(DR)のレプリケーション先として西日本リージョンを選択したりするといった使い方をしているのではないでしょうか。
東日本リージョンと西日本リージョンの機能や提供サービスの違いについては、以下のサイトで確認できます(画面1)。
- Microsoftのグローバルインフラストラクチャとそのしくみの詳細を確認する(Microsoft Azure)
Microsoftは2023年3月末、2023年2月末から西日本リージョンで新たに複数のデータセンターの稼働を開始し、Azureのサービス提供を開始したことを発表しました。
- Microsoft Azure西日本リージョンを拡大し、高まるクラウド需要に対応。国内データセンターへの追加投資により日本のデジタルトランスフォーメーションを支援(Microsoft News Center)
これは、急速に高まる日本国内のクラウド需要に対応するためのもので、西日本リージョンの新しいデータセンターは、Azureの「可用性ゾーン」の要件を満たし、近い将来、西日本リージョン内での可用性ゾーンのサポートが始まる予定です(画面2)。
また、提供サービスについても、東日本リージョンで提供されているサービスの90%以上を、西日本リージョンからも提供する予定です。これにより、西日本リージョンの活用シナリオが広がり、日本国内(1リージョンまたは2リージョン)だけで可用性、災害対策、サービスの実装の柔軟性がこれまで以上に向上します。また、日本国内リージョンの拡充は、Azureのサービスだけでなく、その上稼働する「Microsoft Teams」や「Microsoft Power Platform」といった、Microsoftのクラウドサービス全体の強化にも及ぶことになります。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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