情報システム部は事業部門の「ITアレルギー」をどう防げばいいのか:ノーコード開発、これだけは押さえて(2)(1/2 ページ)
ノーコード開発ツールの基礎と、ツール活用に必要な要素について解説する本連載。第2回は効率化にとどまらない、ノーコード開発ツールの“真のメリット”について解説する。
第1回でノーコード開発ツール流行の背景とツールの全体像について触れた。ノーコード開発ツールはプログラミングスキルを持たない人でも開発ができるので、事業部門が主体となったプロトタイプの開発や改修も簡単にできるようになる。そうなれば「デジタル活用の高速化」「開発コストの削減」「IT人材不足の解消」といった多くのメリットが得られるーーと、ここまではノーコード開発ツールについて調べればすぐに出てくる情報だ。
そこで本稿では、あまり知られていない「ノーコード開発ツールの真のメリット」について触れる。それを知れば、きっとこれまで以上に「ノーコード開発ツールの有用性」を感じることができるはずだ。
開発や業務の効率化だけじゃない”真のメリット”とは
ビジネスにおいてノーコード開発ツールは業務効率化や人材不足解消といったメリットについて語られがちだが、筆者はツールの“真のメリット”は別にあると考えている。それはVUCA時代を生き抜くための「変革人材の育成」と「社内風土の醸成」だ。
事業部門(非IT部門)がノーコード開発ツールを活用して自律的にデジタライゼーションを実現することはかけがえのない成功体験となる。その体験を得た人材は「自分の力で変革は進められる」といった“変革マインド”を獲得できる。ノーコード開発では、アジャイル方式を採用するケースが多いので、変革マインドを持った人材が「失敗しながら大きく育てる」「トライアル&エラー」とVUCA時代に求められる経験を得る機会も多い。これらの経験を持った人材はやがて「変革を担うデジタル人材」へと成長する。
こうした取り組みが1人、2人と広がり、やがて全社へ拡大すると、組織としてのデジタルリテラシーや変革マインドが醸成される。また、情報システム部門と事業部門の縦割りの壁もなくなっていく。それこそがDXを実現するための土台となる「社内風土の醸成」にもつながる。
ビジネスにおいて、アイデアがあっても、どう実現させればいいかが分からず埋もれてしまっているケースは多い。特にデジタル活用においては、デジタルリテラシーが不足していると実現できるものかどうか、どの手段が適切なのかといった判断ができず、優良なアイデアを腐らせてしまうことがあると筆者は考えている。
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