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Windows Server仮想マシンのデスクトップエクスペリエンスも長期運用が可能になるか? 「ホットパッチ」機能のプレビュー提供が開始Microsoft Azure最新機能フォローアップ(192)

MicrosoftはMicrosoft Azureだけでデプロイおよび実行可能なWindows Server 2022のAzure Editionに、Azure Editionだけの「ホットパッチ」機能を提供しています。これまでは、Server CoreインストールベースのAzure Edition Coreだけに提供されてきましたが、2023年4月からデスクトップエクスペリエンスベースのAzure Editionでもプレビュー提供が始まりました。

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

長期運用を実現するAzureだけの「ホットパッチ」機能とは?

 本連載第161回で説明したように、Microsoftは2022年2月から「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Core」に対して「ホットパッチ(Hotpatch)」機能を一般提供しています。

 ホットパッチ機能は、数カ月に一度(現在は3カ月に一度)の再起動が必要なベースラインの更新プログラムと、その間の月ごとに提供される再起動不要な「ホットパッチ」の組み合わせで、更新プログラムのインストールに伴う再起動数を削減し、長期運用を実現するものです。

 ホットパッチのリリース情報は、以下のサイトで確認できます。表1に、通常の「Windows Server 2022」向けの毎月の品質更新プログラム(累積更新プログラム)と、Azure Edition向けのホットパッチのリリース履歴と今後の予定をまとめました。Azure Edition向けのホットパッチベースラインはWindows Server 2022向けの累積更新プログラムと共通であり、インストール後の再起動が必要です。その後の2カ月は、再起動が不要なホットパッチが提供されます。

Windows Server 2022 Standard/Datacenter Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition
2023年1月 KB5022291(ビルド20348.1487)[要再起動] ホットパッチベースライン(同左)[要再起動]
2023年2月 KB5022842(ビルド20348.1447)[要再起動] ホットパッチKB5022921(ビルド20346.1544)
2023年3月 KB5023705(ビルド20348.1607)[要再起動] ホットパッチKB5023786(ビルド20346.1602)
2023年4月 KB5025230(ビルド20348.1668)[要再起動] ホットパッチベースライン(同左)[要再起動]
2023年5月 5月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチ
2023年6月 6月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチ
2023年7月 7月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチベースライン(同左)[要再起動]
2023年8月 8月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチ
2023年9月 9月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチ
2023年10月 10月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチベースライン(同左)[要再起動]
2023年11月 11月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチ
2023年12月 12月の累積更新プログラム[要再起動] ホットパッチ
表1 Windows Server 2022向け更新プログラムと、Azure Edition向けベースラインとホットパッチの実績と今後の予定

デスクトップエクスペリエンス向けホットパッチのプレビューが開始

 Microsoftは2023年4月から、これまでAzure Edition Coreに対してのみ提供してきたホットパッチを、デスクトップエクスペリエンスのAzure Editionに対してもプレビュー機能として利用可能にしました。プレビューであるため、運用環境では利用できませんが、インストールされているOSコンポーネントが多く、GUIを前提とした何らかのアプリケーションが稼働するデスクトップエクスペリエンス環境の更新管理において、ホットパッチでうまく運用できるのかどうか、一般提供までに評価するのに利用できます。

 プレビュー提供中は、Azure Marketplaceの通常の「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition」オファーでは、ホットパッチを有効にすることはできません(画面1)。

画面1
画面1 プレビュー開始後も、通常の「Windows Server 2022 Datacenter: Azure Edition」オファーでは、ホットパッチを有効にできない

 ホットパッチのプレビューを利用するには、Azure Marketplaceで「Hotpatch Preview」を検索し、「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Hotpatch Preview」オファーをデプロイして、「仮想マシンの作成」ウィザードの「管理」タブで「ホットパッチを有効にする」がオンに、「パッチオーケストレーション」が「Azure調整済み」になっていることを確認します(画面2)。

画面2
画面2 「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Hotpatch Preview」をデプロイすることで、ホットパッチを有効にできる(既定で有効)

 デスクトップエクスペリエンスのAzure Edition向けのベースラインとホットパッチは、おそらくAzure Edition Coreと共通であり、プレビュー提供が開始された2023年4月のイメージは、2023年4月の累積更新プログラムを含むビルド(20348.1668)です(画面3)。2023年5月と6月はホットパッチが提供され、次に再起動が必要なベースラインの更新は7月の予定です。

画面3
画面3 2023年4月のイメージは2023年4月の累積更新プログラムを含むビルド。5月と6月はホットパッチによって再起動なしで稼働を継続でき、次の再起動は7月のベースラインの更新時に行われる(Azure側の調整により自動で行われる)

最新情報(2023年7月19日追記)

 2023年7月18日(米国時間)、「Windows Server 2022 Datacenter: Azure Edition Hotpatch Preview」オファーのプレビューが終了し、「Windows Server 2022 Datacenter:Azure Edition Hotpatch」オファーの一般提供が開始されました。


筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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