検索
ニュース

44%のCEOが「インフレで上がったコストは顧客に転嫁すればよい」と考えている ガートナービジネス上の最大のリスクは「インフレ」

ガートナージャパンは、世界のCEOを対象に実施した調査の結果を発表した。同社は「米国や中国、ロシアなどの超大国に囲まれた日本の企業は、今後これらの国の企業とどのように付き合っていくべきか、決断を迫られている」と注意を喚起している。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 ガートナージャパンは2023年5月18日、世界のCEOを対象に実施した調査の結果を発表した。それによると、CEOの約半数が戦略的なビジネスの最優先課題に「成長」を挙げ、「2023年の景気低迷の程度は浅く、短期的だ」と考えているCEOが過半数を占めていた。

画像
2023〜2024年の戦略的なビジネス優先課題(提供:ガートナージャパン

CEOの59%が「新たな枠組みのグローバル化が起きている」と回答

 調査結果によると「今後3年間で自社の業界に最も大きな影響を及ぼす技術」として「AI」(人工知能)を挙げたCEOの割合は21%だった。GartnerのMark Raskino氏(ディスティングイッシュト バイスプレジデント、アナリスト)は、「ジェネレーティブAI(生成系AI)は、ビジネスとオペレーティングモデルに絶大な影響を及ぼす。このチャンスを逃すことへの恐怖がテクノロジー市場の強力な原動力になっている。AIは、まだ投資していないCEOが『重要な何かを見逃しているのでは』と懸念するような転換点を迎えている」と述べている。

 ビジネス上の最大のリスク要因について聞くと「インフレ」を挙げた割合は22%だった。また、「2023年に顧客の期待を最も大きく変容させる要因」としてCEOの約4分の1が「価格感度の上昇」を挙げた。これに対して最大のインフレ対応策として挙がったのは、依然として「値上げ」(44%、複数回答、以下同)。次いで「コスト最適化」(36%)、「生産性/効率性/自動化の向上」(21%)だった。

 GartnerのKristin Moyer氏(ディスティングイッシュト バイスプレジデント、アナリスト)は「インフレ時は生産性に注力しなければならないが、『インフレが長引くことはない』という希望的観測をしているのか、CEOの注力の程度が低い。CEOは、コスト上昇分を顧客に転嫁するのではなく、効率化を実現するために、自動化を採用して方法、プロセス、プロダクトを再設計する必要がある」と指摘。

 ガートナージャパンの藤原恒夫氏(バイスプレジデント、アナリスト)は、「日本の多国籍企業は、盲点となっている地政学的リスクにも早急に取り組む必要がある。CEOの59%が『今、新たな枠組みのグローバル化(リグローバリゼーション)が起きている』と回答した。米国や中国、ロシアなどの超大国に囲まれた日本の企業は、今後これらの国の企業とどのように付き合っていくべきか、決断を迫られている」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る