チャットbotが最重要 Gartnerが顧客サポートのセルフサービス化に役立つ技術5選を発表:「顧客体験の追跡」にも注目
Gartnerはカスタマーサービス/サポート責任者を対象に「価値あるテクノロジー」を調査した。ケースマネジメントシステムやコンタクトセンターシステムが上位を占め、セルフサービス化に注目していることが明らかになった。
Gartnerは2023年5月18日(米国時間)、2023年以降のカスタマーサービス/サポート部門に影響を与える主要技術を調査した結果を発表した。調査結果によると、カスタマーサービス/サポート部門の責任者は、セルフサービスに移行するために顧客を支援するテクノロジーだけでなく、カスタマーサービス/サポート担当者の定着率を向上させるテクノロジーも重要視している。
Gartnerでカスタマーサービス&サポート分野のアドバイザリー担当シニアディレクターであるローレン・ヴィレヌーブ氏は、「現在、カスタマーサービスやサポートで最も影響力のあるテクノロジーは、スムーズで高い価値経験を顧客に提供すると同時に、担当者の負担を減らすものだ。こうしたテクノロジーによって、顧客のセルフサービスへの移行が進み、担当者はより複雑な課題に集中できるようになる」と述べている。
Gartnerの調査は、2022年12月から2023年2月にかけ、200人以上のカスタマーサービスおよびカスタマーサポート部門の責任者に対して行った。「2023年現在、カスタマーサービスに最も効果的なテクノロジーは何か」について調査した結果、1位は「ケースマネジメントシステム」だった。2位は「社内協業ツール」、3位は「クラウドベースのコンタクトセンターシステム」だった。
カスタマーサービスに求められるチャネル間のシームレスな対応
顧客はさまざまなチャネルやプラットフォームを利用してサービスを受けている。カスタマーサービス/サポートの責任者の多くは、こうした顧客のマルチチャネルサービスジャーニーを理解するのに役立つテクノロジーに対して将来的な価値を見いだしている。
責任者が2023年〜2025年にかけて最も価値のある技術として挙げるのは、高度なVoice of the Customer(VoC:顧客の声)分析手法だった。その中には、予測分析(回答者の85%の回答者が将来的に高い価値を示すだろうと答えた)、デジタル体験分析(同84%)およびカスタマージャーニー分析(同83%)などが含まれる。
またデジタルチャネルの機能、特にチャットbotの利用やライブチャットを通じたサービスの提供も、2025年までに価値が大幅に向上することが予想されている。
仮想顧客アシスタントとチャットbotの価値が最も高まると予想
調査回答者は、仮想顧客アシスタント(VCA)とチャットbotへの投資を増やす必要性も認識している。質問に上がった全てのテクノロジー中で、現在と将来の間で価値が増大する割合が最も高かったのはVCAとチャットbotだった。責任者のおおよそ4人のうち3人が、2年後にはチャットbotが組織にとって非常に高い価値を持つようになるだろうと回答している。
VoCアナリティクスは2023年末までにより広く導入され、多くの現場で使用されることが予想されている。企業は主にアンケート調査を使用して顧客の声を収集してきた。しかし、責任者の多くは、アンケート以外の手法を活用して顧客の声を収集しようとしている。センチメント分析(72%)、カスタマージャーニー分析(68%)およびデジタルエクスペリエンス分析(65%)などの手法の導入や、パイロットプロジェクトの開始が予想されている。
「こうした数字は、カスタマーサービス/サポートの責任者が、デジタルやマルチチャネルを提供しつつ、顧客体験を追跡する価値を認識していることを示している。カスタマーサービス/サポートの技術環境は進化を続けている。特に、昨今の生成AIの登場により、その進化は加速すると予想される。今後、責任者は既存のテクノロジーに対する価値を再認識しながら、さらなるテクノロジーの進歩や改良に目を向けるだろう」(ヴィレヌーブ氏)
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