Google、Webアプリのテストや自動操作ができる「Chrome for Testing」を提供開始:開発者向けに全てのチャンネルのリリースごとに提供される
Googleは、Webアプリケーションのテストや自動操作を想定した「Chrome」ブラウザの開発者向けバージョン「Chrome for Testing」を発表した。
Googleは2023年6月12日(米国時間)、Webアプリケーションのテストや自動操作を想定した「Google Chrome」(以後、Chrome)ブラウザの開発者向けバージョン「Chrome for Testing」を発表した。
Chromeは自動更新機能を備えており、ユーザーは、最新のWebプラットフォーム機能、ブラウザ機能、バグ修正を含む最新の安全なバージョンのブラウザを常に実行できる。
だが、Webアプリケーションをテストする開発者にとって、この自動更新機能は悩みの種となっている。繰り返しテストを行い、一貫した再現性のある結果を得たい場合や、特定のバージョンのChromeに対してテストを再実行したい場合に、ブラウザの自動更新によってそれらが実現できなくなる恐れがあるからだ。
Chromeを自動操作するためのツールである「ChromeDriver」を使用する場合、Chromeのバイナリに対応するバージョンのChromeDriverが必要になる。適切なバージョンのChromeDriverを用意する手間がかかる他、Chromeが自動更新されると、自動操作に支障をきたしてしまう。
自動更新機能がなく、Chromeのバージョンごとに提供されるChrome for Testing
Chrome for Testingは、これらの問題を解決するように設計されている。自動更新機能がなく、Chromeのリリースプロセスに統合されており、Chromeの全てのリリースごとに提供される。通常のChromeにできるだけ近い形で構築され、テストに悪影響を与えない。
Googleは、Chrome for Testingを構築するため、ChromiumとChromeのコードベースに変更を加えた。Chromeの全てのチャンネル(Stable、Beta、Dev、Canary)のリリースプロセスに合わせて、Chrome for Testingのバイナリを構築し、公開バケットにアップロードするためのインフラも構築した。
Chrome for Testingをダウンロードする最も簡単な方法は、「npm」から入手できる「@puppeteer/browsers」コマンドラインユーティリティーを使うことだ。以下にその例を示す。
# Stableチャンネルに対応する最新のChrome for Testingバイナリをダウンロードする npx @puppeteer/browsers install chrome@stable # Chrome for Testingの特定のバージョンをダウンロードする npx @puppeteer/browsers install chrome@116.0.5793.0 # Canaryチャンネルに対応する最新のChromeDriverバージョンをダウンロードする npx @puppeteer/browsers install chromedriver@canary # ChromeDriverの特定のバージョンをダウンロードする npx @puppeteer/browsers install chromedriver@116.0.5793.0
Googleは、これらのバイナリをダウンロードするための自動スクリプトを作成したい開発者向けに、Chromeのリリースチャンネル(Stable、Beta、Dev、Canary)ごとに、利用可能な最新バージョンのJSON APIエンドポイントも提供している。
なお、Chrome for Testingは、一般ユーザーが通常のブラウジングに使用することは想定されていないため、Google Chromeのダウンロードページには掲載されていない。
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