多い? 少ない? 57%の開発者がソフト開発に生成AIの利用を検討 SlashData調査:意思決定者も積極的に関与
SlashDataは開発者動向を調査した「24th edition of State of Developer Nation」を発表した。AIを開発支援に活用する開発者は63%、生成AIを積極的に活用する意向を持つ開発者は57%に上った。
SlashDataは2023年5月31日(米国時間)、開発者動向を調査した「24th State of Developer Nation」を発表した。同調査では、開発者がAI(人工知能)をどの程度使用しているのか、どのように使用しているのかを調査した。
ここ数カ月で大きな注目を浴びるようになった「ChatGPT」の役割は、文章生成にとどまらない。タスク自動化や、コードスニペットの生成、ドキュメントの作成支援や会話型インタフェースのプロトタイプ作成など、用途は多岐にわたる。
開発者の創造性を生成AIが支援
この1年間で、開発者が開発に関与する頻度や活動量全体のエンゲージメントは、4%減少した。しかし、関与の質は大きく変化した。開発プロセスでのAI活用に積極的に取り組んだり、AIによる開発支援を学んだりする開発者が6%増加した。一方、潜在的な関心を持っている開発者は6%減少している。SlashDataは、AIによる開発支援が成熟し、開発現場での実用性が高まっている結果だと考察している。
同調査によると、開発者の63%が何らかの形でソフトウェア開発にAIを活用し、57%の開発者が生成AIに積極的に関わっているか、興味を持っている。
開発者は生成AIをどう活用しているのか?
開発者は主に3つの方法で生成AIを使用している。
- 開発プロセスに役立つツールとして使用
- APIを通じてプロジェクトに統合
- 開発者が自ら生成AIモデルを一から構築
SlashDataは、重要なタスクやセキュリティに配慮しなければならない作業を生成AIだけに依存することにちゅうちょする人もいる可能性があるとし、当面は、深刻なエラーや脆弱(ぜいじゃく)性を生み出す可能性が低いアプリケーションやWebサイトの見た目やUIを構成するビジュアルアセットに生成AIを活用する動きが急速に進むと考察している。
リーダーシップの役割
企業の最高幹部などの経営陣も新興テクノロジーに対して高い関与率を見せている。ツールの費用や予算承認に関わる意思決定者の半数(49%〜50%)が、AIによる開発支援に積極的に関与していた。SlashDataはこの傾向について、AIによる開発支援の革命が、その可能性を認識するリーダーのもと推進されている傾向にあるとした。
先を見据えて変化する情勢
SlashDataは、より広い視野で見ると、新興技術に対する関心や採用には周期的なパターンが見られるとした。全体的に開発者の関心は5%低下しているが、採用は4%増加している。開発者にとって新興技術は、これまでのような興味、関心の対象から、業務で活用する技術へダイナミックに変化しているとSlashDataは考察している。
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