業務時間外のメールやチャットの返信、どうしてる?:仕事が「つまんない」ままでいいの?(104)(2/2 ページ)
デジタルツールの発展で、連絡や確認が気軽にできるようになりました。その分、業務時間外に業務に関する連絡を受け取ることも……。基本的には、仕事は業務時間内に行うとして、業務時間外の反応はどう考えたらいいのでしょうか。
仕事が生活の一部になっている
3つ目の、「仕事が生活の一部だから」について。
少し話がずれますが、先日、ある経営者と話をする機会がありました。その方は、常にメモを持ち歩いていて、寝るときもメモを枕元に置いているのだそうです。その理由は、「アイデアがいつ降ってきてもいいように」。
私も似ているところがあります。業務時間外も仕事のことを考えていることが多く、それがあまり苦ではありません。
もちろん、これは人それぞれでしょう。あまり根を詰め過ぎると「あぁ、少し仕事から頭を切り離した方がいいな」と思う時もあります。でも、仕事のことを日常的に考えていることが、悪いことだとは思っていません。
そのために、業務時間外にメールやチャットが入っても「いまは業務時間外だから」という感覚がほぼないのだろうと、自分では分析しています。
ちなみに「ワークライフバランス」といいますが、私にとって仕事は、生活(人生)とのバランスをとるものではなく、人生の一部です。
相手と信頼関係があるから
4つ目の、「相手と信頼関係があるから」について。
「業務時間外でもメールやチャットの返信をする理由」について1〜3まで書きましたが、よくよく考えてみると、4つ目の理由が一番大きいかもしれません。
社内外にかかわらず、知人との連絡手段はチャットが多いです。出会ったきっかけは仕事でも、やりとりするうちに「この人は信頼できるな」とか、「この人とは気が合うな」となってくると、相手のSNSの発言や画像に「いいね!」を押したり、コメントを付けたりします。メッセージもその延長になっていきます。
そうなると、「同僚や顧客」というよりも「信頼できる人とのやりとり」になるため、仮に午後10時ごろ、知人から「こんなアイデアが浮かんだんですけど、どう思います?」とか、「○○について、ちょっと教えてもらってもいいですか?」みたいなメッセージが送られてきても苦ではありません。
というよりも、「これは業務だ」「これは業務じゃない」みたいな境界がないため、むしろ「相談してくれてありがとう」と思うことすらあります。
もっとも、真夜中にメッセージを送るのは、さすがにどうかと思いますが(笑)。でも、お互いに信頼できる間柄なら、別に悪いことじゃないなと思っています。
業務時間外のメールやチャットには、いろんな考え方があるけれど
業務時間外のメールやチャットについてお話ししてきました。
デジタルツールの発展で、連絡が気軽にできるようになりました。その分、業務に対する時間の考え方が曖昧になりがちです。
基本的な考え方として、業務時間外の連絡は「業務時間外なのだから、反応しなくてもいい」でしょう。また、業務時間外の連絡が過度にあると「ちょっと、いいかげんにしてくれないかな」と思うのも当然です。
一方で、片付けられるものは、サクッと片付けて「明日に持ち越さない」のも一つの選択かなと思いますし、急ぎの用があるときや、緊急事態のときなど、早めに対応した方がいい場合もあります。信頼関係があれば、メッセージはむしろうれしいときもあります。
そう考えると、過度に「業務時間外は返信しない!」としていると、ときに損をすることもあるかもしれませんね。最終的には「相手との信頼関係」なのかなと思います。
筆者プロフィール
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本でも進む「つながらない権利」、時間外には電話やメールを受け付けない
NTTデータ経営研究所は、新型コロナウイルス感染症と働き方改革に関する調査結果を発表した。働き方改革に取り組む企業は、調査開始以降初めて減少に転じた。キャリア志向に関しては二極化が進んでいる。 - Gmailの送信予約でメールを送って業務時間外のメール着信を防ぐ
深夜や休日など業務時間外に仕事相手へメールを送るのがはばかれることはないだろうか。でも、メールはもう書いたから、忘れないように送信は済ませたい……。そのような場合、Gmailなら指定日時の送信を事前に予約できる。その手順は? - 働き方改革では、心の病は防げない
「心の病による労災申請過去最多」なのだそうです。ストレスチェックや働き方改革をしているのに、なぜなのでしょう?――大切なのは「労働者の心の強さ」ではなく「職場の心理的な安全」なのかもしれません。