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「ジェイ、どう?」 オフィスの視察かと思ったら面接だったGo AbekawaのGo Global!〜Jay Pegarido(後)(3/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回もSansanの海外開発拠点、Sansan Global Development Centerにて取締役を務めるJay Pegarido(ジェイ・ペガリド)さんにお話を伺う。無職から一転、社長として会社のあれやこれやを取りまとめるジェイさん。大変だけど、それだけ誰かのためになる。その機会に出会えたことがうれしいと彼はほほえんだ。

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「自分の直感を信じてリスクを取る」

阿部川 エンジニアに向けて何かアドバイスをいただけますか。

ジェイさん はい。1つ目に言いたいこと、というより私が心掛けていることなのですが、(日本語で)「ただ生きることだけではなく、何か価値のあることをやるということです」。

 『RICH DAD POOR DAD』(邦題「金持ち父さん貧乏父さん」)の中でロバート・キヨサキ氏は、「ビジネスを起こすということは、パラシュートを付けずに飛行機から飛び降りるようなものだ」と言っています。実際には、パラシュートがあったとしても、地上に落ちるまでに開かないこともあり得るので、この言葉の意味としては“Leap of Faith”(「大丈夫だと信じてやってみる」といった意味合い)だと思います。私の場合、人生とは自分自身を発見し、成長するための旅のようなものです。

 次に、私は自分の可能性をもっと広げたいと考えています。そのためには「何か意味があること、インパクトがあること、あるいは人と違うこと」をしなければなりません。これまでいろいろなチャレンジの機会を頂き、いつもパラシュートなしで飛び降りるような気持ちになっていましたが(笑)、やってみないと結果は分かりません。これが2つ目のアドバイスです。

 3つ目は「(やってみようと)決断すること」です。むしろこれが最も伝えたいことかもしれません。自分の直感を信じてリスクを取るということです。最終的に、自分を一番知っているのは自分ですから。また、大きなリスクに賭けるから、大きな成果も期待できるのだと思っています。


編集中村
編集 中村

 ここ、とても共感します。うまくいかなくても、失敗しても、自分で決めることに価値があると私も思います。今までそれを「誰かに責任をなすりつけないこと」と考えていましたがジェイさんの話を聞いて「自分を信じること」なんだと思い直しました。ああ、良い話を聞けました。


編集鈴木: フィリピンのエンジニアについて教えてください。英語を話せる方が多いので、例えば米国などで仕事をした方が日本よりも給与が高いのではないかと思うのですが、ジェイさんの周りではどの国で働いている方が多いですか。

ジェイさん: フィリピンの人は米国、日本だけでなく世界中のどこにでもいますね(笑)。IT業界でいうと日本が憧れの的です。円安が影響する部分はありますが、給料は米国と比べても安いとは思いません。ああ、でも医師や看護師などは米国の方が給与は高いかもしれませんね。

 日本が憧れられているのは、日本とフィリピンのパートナーシップが非常にうまくいっていることと、日本貿易振興機構(JETRO)など貿易を通じて「日本政府がフィリピンに対して投資している」というイメージが影響していると思います。また、フィリピンでは、昔から洗濯機やテレビなどで“Made in Japan”(日本製)が人気です。そのイメージは今でも強いです。カメラが欲しければ(日本企業の)NikonやCanonのカメラを買おうとなります。

編集鈴木: 最後にフィリピンのオススメ料理を教えてください。

ジェイさん: セブでは豚の丸焼きが有名ですね、「レチョン」と言います。ファストフードですが、「ジョリビー」のチキンもおいしいですよ。今度セブにいらっしゃるときにはぜひご連絡ください。

Go’s thinking aloud インタビューを終えて

 「腹(“肚”とも書く)が据わる」「腹を据える」という表現がある。廣木道心氏(自身が知的障害のある息子の父親でもあったことから、育児中パニックを起こした子どもを傷つけることなく、自身も傷つくことのないやり方を経験。そこから福祉や日常の介助に武道を生かす「護道」を提唱している)の動画を見ると、腹の据わった人が正座や蹲踞(そんきょ)をしていると、どんなに力のある人が押しても倒れない。廣木さんいわく「地面を押しているのと同じだから(微動だにしない)」。

 英語の“commitment”は辞書を引くと「約束」「言質」「義務」「責任」と出ているが、文脈によっては「腹を据える」あるいは「覚悟を決める」とも訳せる。ジェイさんは仕事へのコミットメントをたびたび口にした。腹を据えて仕事をしている証左(しょうさ)だろう。自分に適した仕事がないかと探すより、腹を据えて今の仕事に取り掛かるか、あるいは自ら今までなかった新しい仕事を作り出す。すると不思議なことに、転職の機会は向こうからやってくる。それがまだ来ていないとすれば、まだまだ腹を据えて事に当たってない証拠だといえば、時代遅れだろうか。

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