コラボレーションツール「Microsoft Loop」一般提供開始 AIで強化された情報共有・共同作業を実現:Microsoft職場アカウントで利用可能に
MicrosoftはAI支援を組み込んだコラボレーションツールMicrosoft Loopの一般提供の開始を発表した。Microsoft 365-Business Standard、Business Premium、E3、E5を利用する顧客であれば、Webおよびモバイルで利用できる。
Microsoftは2023年11月15日(米国時間)、コラボレーションツール「Microsoft Loop」(以下、Loop)の一般提供を発表した。Microsoft 365-Business Standard、Business Premium、E3、E5を利用する顧客であれば、Webおよびモバイルで利用できる。
Microsoftによると、LoopはAI(人工知能)機能によって強化されたワークスペースに人とリソースを集め、デジタル負債(人間の処理能力を上回るデジタルのコミュニケーション疲れ)を減らすという。
Loopのコンポーネントは2021年に先行発表されている。2023年3月、Loopアプリのパブリックプレビューが発表され、そして同年11月に一般提供を開始した。本記事では一般提供版のLoopの機能を紹介する。
Collaborative notes:より良いミーティングのために
仕事が進化し続けている現在でも、会議は人とつながり、情報を共有し、意思決定を行うための重要な手段であることに変わりはない。しかし、会議はデジタル負債の大きな原因となっており、ミーティングは時間を効果的に使い、予約の取りすぎやストレスを軽減するための施策が必要だ。
この改革の一環として、Microsoftは「Collaborative notes」を発表した。Collaborative notesでは、Microsoft 365のAIアシスタント「Copilot」がメモを取り、提案されたタスクをノートに追加する。そのため、人間は会話に集中することができる。メモを会議参加者全員が表示および編集できるようにするには、会議の参加者のうち1人だけがCopilotのライセンスを持つ必要がある。このCopilotの機能は、2024年のプレビュー版で展開される予定だ。
Collaborative notesにより、会議の終了後すぐに会議のコンテンツが入力された新しいLoopワークスペースを作成できる。全てのドキュメントを精査したり、新しいプロジェクトを開始したりする時間と労力を節約できるだけでなく、ワークスペースに招待した他のユーザーにも会議のコンテキストを共有できるという。
Copilot:共有思考の力を引き出す
CopilotはMicrosoft Loopにおいて、コンテンツ作成、要約、コード作成、シームレスな作業ハンドオフのための機能を提供しており、Microsoftは「Loopにおけるチームコラボレーションと生産性を向上させる」としている。
Copilotには次のような機能がある。
- 共同作成
- インテリジェントキャンバス(カスタムページ制作機能)
- テーブル生成
- ファイルの添付
- コンテンツの要約
- 自由形式の質問
- コンテンツの編集支援
- コードライティング
- 作業のハンドオフ
Copilotの多くの機能が利用可能で、今後アップデートが予定されている。Copilotには追加の月額サブスクリプションが必要。
AI in Loop:明晰さと集中力を取り戻す
LoopのAIがワークスペースのタイトルやその他のキーワードに関連するコンテンツを収集し、ワークスペースの開始をサポートする機能が搭載される。自分の言葉でスペースを説明し、ワークスペースに含めたい部分を全て選択するだけで可能になる。この機能は2023年内に公開される。
プロジェクトの全体的な進捗を明確にしたいとき、Loopを使うとチームの進捗状況を追跡し、ワークスペースで起こっていることを1カ所ですぐに把握できるようになる。ワークスペースのステータスの共有は2024年初頭にデプロイされる予定だ。
Loopでお気に入りのアプリを使用する
ツールボックスで使用できるアプリの一部を紹介する。
- TeamsチャネルのLoopコンポーネント
- OneNoteでのコンポーネントのコピー&ペースト
- Whiteboardコンポーネント
- Plannerコンポーネント
- GitHubとADO(ActiveX Data Objects)データ統合
- タスク同期
- 「Jira」と「Trello」のデータ統合
- Figma埋め込みリンク
Microsoftは、さらに多くのLoopコンポーネントを提供していくとしている。
情報を共有する
Loopコンポーネント、ページ、ワークスペースを社外のユーザーと共有できるように、Microsoftは共有機能開発に取り組んでいる。この機能は2024年初めにプレビュー版としてデプロイされる予定だ。
ユーザーの希望する機能を追加
Loopはユーザーからのフィードバックを取り入れ、要望の多かった幾つかの機能を導入した。
- 「BAT」「C」「C++」「C#」「CSS」「PlainText」「Java」「JavaScript」「Markdown」「TypeScript「Python」「SQL」「Shell」「PowerShell」「HTML」などのコーディング言語をサポート
- マークダウンに対応
- Loopページテンプレート(年末までに)
- LoopページにStreamやYouTubeの動画を直接埋め込み、キャンバス内で再生可能。ユーザーはLoopページから直接ビデオを録画できる
Loopモバイルアプリの一般提供も開始された。
LoopはMicrosoft 365の職場アカウント(組織版アカウントのうち、職場に分類されるアカウント)で利用できる。今すぐWebでLoopを試すことも可能だ。iOSやAndroidのモバイルアプリもダウンロードできる。
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