デジタルテクノロジー、生成AIへの投資は2024年も増加傾向に IDCが10の予測を発表:「生成AIによって強化されたデジタルビジネス時代の到来」
IDCは2024年以降の世界的なデジタルビジネス戦略を予測するレポートを発表した。同レポートでは今後12〜24カ月の間にテクノロジー/ITチームが直面する問題に焦点を当てている。本記事ではレポートの内容を紹介する。
IDCは2023年11月29日(米国時間)、2024年以降の世界的なデジタルビジネス戦略を予測する「IDC FutureScape: Worldwide Digital Business 2024 Predictions」を発表した。同レポートでは、今後12〜24カ月の間に世界のビジネスエコシステムを変化させる外部要因と、デジタルファーストの世界で成功するために必要なテクノロジーを定義、構築、管理する際にテクノロジー/ITチームが直面する問題に焦点を当てている。本記事ではレポートの内容を紹介する。
デジタルビジネス戦略に関するIDCの予測トップ10
デジタルビジネス戦略に関するIDCの予測トップ10を紹介する。
(1)生成AIはイノベーションを加速させる
生成AI(人工知能)は、デジタル製品やサービスを開発するために使用される。生成AIを活用する企業は、生成AIを利用していない競合他社よりも、効率的かつ効果的に新たな収益を生み出し、より速いペースでの成長につながるだろう。
(2)デジタルテクノロジーへの投資ペースが増加する
デジタルビジネスモデルの成長とデジタル能力の強化は市場から要求されており、企業によるデジタルテクノロジーへの支出は、2024年には経済全体における増加の7倍に達するだろう。
(3)AI担当リーダーがC-Suiteに昇格する企業も
最近のIDCの調査によると、CIO(最高情報責任者)の半数強が、AIを担当するリーダーを組織内に置く、または置く予定であると回答しており、そのうちの約半数は、AIリーダーがC-suite(経営層)、つまりエグゼクティブチームの一員になると考えている。
(4)デジタルネイティブ企業は生成AIへ多額の投資を行う
デジタルネイティブ企業は、革新的なビジネスモデルをサポートし、競争力を生み出すためにテクノロジーに依存している。これらの企業は生成AIをいち早く採用し、競争優位性を高めるために多額の投資を行うだろう。
(5)デジタルビジネスプラットフォームが成功を可能にする
デジタルビジネスプラットフォームは、企業のオペレーションをより可視化し、投資の影響をより深く見通すことを可能にする。企業がデジタルで成熟するにつれて、ROI(投資利益率)の測定がより容易になり、デジタル収益への取り組みを成功に導く最先端の機能が構築可能になるだろう。
(6)あらゆる場所でAIが新たなデジタルビジネスモデルを創出する
AI予測、マシンビジョン、生成AI機能の組み合わせと、デジタルエコシステムを通じたオンデマンドサービスの提供は、新たな局面を迎えるだろう。これらの能力を高く評価する顧客層に向けて、新たな製品やサービスを創出する機会が開かれる。
(7)測定には新たなKPIが必要になる
戦略的な意思決定には、真にビジネスに関連している事項を追跡することが重要だ。デジタルビジネスの特徴であるデジタル製品、サービス、エクスペリエンスの創造と提供へのシフトを反映した、新たな主要業績評価指標(KPI)の導入が必要になる。
(8)テクノロジーリーダーへの期待が高まる
最高経営責任者(CEO)は、デジタル製品、サービス、エクスペリエンスを通じて、より優れたビジネス成果を提供し、ビジネスの俊敏性を高め、新たな収益をもたらすことに注力することを、組織のテクノロジーリーダーにますます期待するようになっている。
(9)AIはワークフローに影響を与え、従業員のリスキリングを促進する
AIの全面的な導入は、ワークフローや学習プロセス全体に消極的な従業員へ課題をもたらすだろう。マイナスの影響を緩和し、導入を促進するためには、生成AIと協力して働くためのリスキリングを従業員に行う必要がある。
(10)デジタル技術はサステナビリティを達成するために使われる
サステナビリティを達成するために、組織はビジネスリーダーとITリーダーの両方が、サステナビリティを考慮しながらデジタル目標を達成するという、二重の意味でのデジタルテクノロジー投資を追求する必要がある。
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