「超高速開発ツール」の導入割合が突出して高い ノークリサーチがローコード/ノーコード開発ツールについて調査:「クラウドサービス間の連携については伸びが期待できる」
ノークリサーチは中堅中小企業を対象に実施した、ローコード/ノーコード開発ツールの用途と社数シェアに関する調査の結果を発表した。それによると2022年と比べると2023年の導入は控えめになっていることが分かった。
ノークリサーチは2024年1月29日、ローコード/ノーコード開発ツールの用途と社数シェアに関する調査の結果を発表した。この調査は年商500億円未満の中堅中小企業を対象に実施し、1300社から有効回答を得た。
レガシーマイグレーションのピークは既に過ぎた?
調査では、ローコード/ノーコード開発ツールの用途として10項目の選択肢を提示した。ノークリサーチはその中で「新規の業務システム開発」「レガシーマイグレーション」「クラウドサービス間の連携」「Microsoft Excel代替のシステム開発」の4項目に注目した。
“クラウドサービス間の連携”は2022年から2023年にかけて増加しており、同社は「今後の導入予定も伸びが期待できる」としている。それに対して“新規の業務システム開発”は、「2022年に導入済み」と回答した企業の割合に比べて「2023年導入済み」と回答した企業の割合が低くなっている。「2023年導入予定」の割合も「2023年導入済み」と同程度となっており、ノークリサーチは「“新規の業務システム開発”は2023年以降、2022年ほどの活用は期待できない」と推測している。
“レガシーマイグレーション”は「2022年導入済み」と比べて「2023年導入済み」の割合は増加したが、「2023年導入予定」の割合は減少していた。そのため「レガシーマイグレーションのピークは既に過ぎた」とノークリサーチはみている。“Microsoft Excel代替のシステム開発”については、どの活用状況の値も目立って高い値は見られない。活用状況の違いによる変化も小さいため、ノークリサーチは「今後も1割強の割合を維持した状態が続く」と予想している。
ローコード/ノーコード開発ツールの導入済みと導入予定の社数シェアを見ると、「超高速開発ツール」を回答した割合が79.7%と突出して高かった。次いで、「PaaS(Platform as a Service)として提供されているもの」が28.3%、「iPaaS(Integration Platform as a Service)/データ連携ツール」が21.6%となっていた。
この点についてノークリサーチは「昨今はクラウドで利用できる超高速開発ツールもあるが、オンプレミスでの導入はいまだに多いと考えている。そうした背景もあり、オンプレミスでは超高速開発ツール、クラウドではPaaSとして提供されているものが多く、既存の業務システムとの連携手段としてiPaaS/データ連携ツールが選ばれているのではないか」と分析している。
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