2024年の世界IT支出、約5兆ドルに到達 Gartner予測:ITサービスが最大の支出額に
Gartnerによると、2024年の世界IT支出は2023年比で6.8%増加し、5兆ドルに達する見通しだ。ITサービスへの支出が、通信サービスへの支出を上回るという。
Gartnerは2024年1月17日(米国時間)、世界のIT支出予測を発表した。Gartnerの予測によると、2024年の世界IT支出は、2023年比で6.8%増加し、約5兆ドルに達するとの見通しを明らかにした。
Gartnerのディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのジョンデビッド・ラブロック氏は「生成AI(人工知能)はあらゆるものを変えるだろうが、IoTやブロックチェーンなどのトレンドと同様に、IT支出に大きな影響を与えることはないだろう。2024年は組織が生成AIの利活用に向けて、本格的に投資を開始する年になる。一方で、企業は新しい技術への対応や変化のために改革疲れが蓄積しており、IT支出自体は収益性や労働力など伝統的な要因の影響を受けることになるだろう」と述べている。
ITサービスが2024年、IT支出最大のセグメントに
Gartnerは、ITサービス支出が通信サービス支出を上回り、2024年には8.7%増の約1兆5000億ドルに達すると予想している。
ラブロック氏は「消費者のデバイス購入や通信サービスの利用による支出は10年以上前に頭打ちになっている。消費者支出の水準は、価格変動や買い替えサイクルに左右され、大きな成長は期待できない。ソフトウェアやITサービスに追い抜かれるのは時間の問題だった。企業は新しい方法でテクノロジーを利用し、ビジネスのさまざまな側面で価値を生み出す方法を模索している。ITはバックオフィスからフロントオフィスへと移行し、収益を生み出す役割を果たしている。企業がどこで、どのようにテクノロジーを活用できるかにはまだ限界がないため、企業のIT支出は今後も続くだろう」と分析している。
CIOの改革疲れが、IT支出に影響か
2023年のIT支出の伸び率は3.3%で、2022年比で0.3%増加にとどまった。Gartnerは、CIO(最高情報責任者)の改革疲れが要因の一つだと分析している。
「改革に疲れたCIOが新たな契約の署名をためらったり、長期的な取り組みへのコミットを控えたり、新しいテクノロジーパートナーを採用することをためらったりするなど、変化に抵抗を示すことがある。CIOは、新しい取り組みに対してより高いレベルのリスク軽減と、確実な成果を要求するようになる」(ラブロック氏)
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