52%の企業が「AIアクセラレータを備えたパブリッククラウド」の利用を検討 IDC:国内ITインフラ支出動向調査を分析
IDC Japanは、国内ITインフラ支出動向調査の分析結果を発表した。それによるとITインフラ投資は多くの企業にとって「デジタルビジネスを推進する上で重要なIT投資項目」という位置付けになっていることが分かった。
IDC Japanは2024年4月8日、国内ITインフラ支出動向調査の分析結果を発表した。この調査は、国内企業でITインフラ導入の意思決定やプロセスに関与する人を対象に実施し、557人から有効回答を得た。それによると、調査対象企業の86%が「ITインフラはデジタルビジネスを推進する上で重要なIT投資項目」と回答した。
最も重視するのは「サイバーセキュリティ対策」
分析結果によると「ITインフラへの投資を優先する(最も優先度が高い投資領域だ、優先度の高い投資領域の一つだ)」と回答した企業の割合は合わせて86.0%。また、事業開始当初からデジタル技術を中核にしている企業(IDC Japanは「デジタルネイティブビジネス企業」と定義)に限定すると、6割が「ITインフラ投資は最も優先度が高いIT投資領域だ」と回答している。
投資対象について詳しく見ると、最も重視する項目は「サイバーセキュリティ対策」だった。次いで大企業では「ITインフラ運用管理の自動化ツール」「パブリッククラウドへの移行」、中小企業や中堅企業では「データ管理/分析基盤」「レガシーシステムや技術的負債の刷新」が重視する項目に挙がった。
調査ではAI(人工知能)処理に使うITインフラについても聞いている。それによると52%の企業が「AIアクセラレータを備えたパブリッククラウド」(アクセラレータを利用する、パブリッククラウドのAIインスタンス)の利用を検討していた。自社専用にハードウェアを導入する場合も、AIアクセラレータを利用する意向が強かった。
AIインフラの導入/運用の課題で上位を占めたのは「IT人材の確保」「データセキュリティ」「プライバシーの保護」だった。IDC Japanは「こうした課題を解決する手段として、専有型のas a Serviceソリューション、パブリッククラウドサービス、基盤モデルや開発環境も含むマネージドサービスなど、AIインフラ向けのITインフラサービスへの期待が高まっている」と述べている。
IDC Japanの宝出幸久氏(Infrastructure & Devices リサーチマネージャー)は、「調査結果によると、ITインフラ投資に期待するビジネス成果は『コストの削減』『従業員の生産性向上』『事業運営の効率化』など効率化に関する項目が上位を占めた。今後はデジタルビジネスの基盤となるデジタルインフラへの投資によってイノベーションを加速し、ビジネス成果の実現にさらに注力すべきだ」と分析している。
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